ハビタットの清掃支援は、地域の福祉団体と連携、協力しながら行っていますが、時に柔軟な対応が求められることがあります。

10月、地域の高齢者総合相談センターの相談員さんからハビタットに緊急案件の相談が入りました。お話を伺うと、現在ご入院中の宮本さん(仮名・50代)の部屋の片付けを手伝ってほしいとのことでした。宮本さんは、長い間糖尿病と腎臓病を患い、入退院を繰り返す生活が続いていたそうです。今回の入院は1か月ほど続いたそうですが、お住まいの居住環境が悪く、ご本人としては退院したいけれども、ご自宅に戻れないとのことでした。

自宅は、そこに住まわれる方の大切な思い出が詰まる場所です。ハビタットの支援では、原則ご本人の立ち会いのもとで片付けを実施していますが、今回のケースでは支援の必要性から片付けの実施を決めました。そこで、不動産店の方にご協力いただき、ご本人のご承諾のもと、相談員の方とお宅を訪問しました。一歩部屋に入ると、居室の中はモノで溢れ、足の踏み場がない状態でした。中には、糖尿病治療のために使用されたインスリン注射針も落ちていました。相談員の方に詳しいお話を伺うと、「どうにもならない家の状況に嫌気がさして、ご本人自ら家を飛び出してしまい、路上でうずくまっていたところを病院に搬送されたんです」と入院に至るまでの経緯を教えてくれました。本来であれば、安心して体を休めることができるはずの自宅ですが、体調不良から片付けがままならなくなり、遂には「居たくない空間」になってしまっていたのでした。

ご本人の同意もと、相談員さんが同席する形で11月にボランティアの方2名、相談センターから職員3名が駆けつけ、片付けを実施しました。2時間半かけてモノの仕分けを行い、処分するモノは軽トラック2台分にもなりました。

  • 活動前の写真

  • 活動後の写真

相談員の方は、「ご本人が入院中でしたが、こうしてハビタットのボランティアの方が来てくださったおかげで、部屋の中の環境を改善することができました。ご本人が退院されるまでに介護ベッドを部屋に入れて、今後はヘルパーサービスを利用して居住環境を維持できるようにしていきます」と話されました。

宮本さんは、12月初旬に退院予定とのことです。衛生環境が改善したお宅での生活を無事にスタートできるよう、今後も地域の福祉団体と連携し、見守りを続けていきます。