2023年より、ハビタットの海外建築ボランティア「グローバル・ビレッジ(GV: Global Village)」プログラムが限定的ではありますが約3年ぶりに再開しました。コロナの感染拡大を受け、ボランティアをはじめ、支援対象地域の人々の安全を第一に、2020年2月末に突如として全世界的にGVログラムの休止を余儀なくされ、ボランティア参加のもと支援を待つ家族やその地域の人々をはじめ、GV参加を予定していた日本の大学生、そして各国のボランティアが大きな影響を受けました。あれから3年、ワクチン接種が広がり、さまざまな規制が緩和されたことを受け、ハビタットは2023年より段階的ではありますがGVを再開しました。

GV休止からの約3年はとても長い月日であり、ハビタットの学生団体として活動するキャンパスチャプターの中で経験を持つ人が少なくなる中、多くのキャンパスチャプターがその再開を心待ちにしてくれていました。そして、2023年春、予想を上回る24キャンパスチャプターから16チーム、合計271名もの大学生がGVに参加くださり、2月から3月末にかけてカンボジアとベトナムで住まいの支援を必要とする家族と共に住居建築に参加いただくことができました。GVをはじめ、海外渡航そのものが初めてという学生が多い中、271名の参加者の内、最も最多となる4度のGV参加を果たした同志社大学のキャンパスチャプター「同志社ハビタット」に所属されていた(23年3月卒業)大島誠太郎にお話しを伺いました。


  • 初めてGVに参加したきっかけを教えてください(初GVは2018年に参加したタイGV)
    僕が初めてGVに参加を決意した理由は「楽しそうだから」です。当時僕は海外にもボランティアにも興味はなく、同志社ハビタットに入ったのもなんとなく楽しそうだからでした。 
  • 初めてのGVで得た学びはありますか?
    タイGVで最も心に残っているのは、事前のミーティングで先輩が発した「支援対象があるからこそ僕らは活動できる」という言葉です。ボランティアとは支援対象の人たちがいて、私たちを支えてくれる人たちがいて、次に繋げる人たちがいてこそ成り立つもの。決して自己満足な活動で終わるのではなく、様々な人たちに影響を及ぼすことを頭に入れて活動をしなければなりません。この言葉は私の日常生活から5年の活動まで、私のすべての根本となる考えを与えてくれました。もう一つ学んだとして「人は人、自分は自分」という考えが挙げられます。。ワークサイトでは日本で暮らす私たちに比べて生活水準が低い人たちを目にします。彼らはそれぞれの背景によって貧困の中で生活をしていました。しかし、彼らは幸せそうに笑ったのです。一人ひとりが貧困に負けるのではなく、自分たちの幸せを見つけ大切にしていたのです。これは現地に行く前まで「貧困層=辛く苦しく生きる人たち」というイメージを持っていた僕にとって衝撃でした。この体験から私は人にはその人の幸せ、そして価値観があり、それは誰にも侵害されてはならなく尊重し合って人は関わりをもつことが大切だと考えるようになりました。

  •  GVリーダーのチーム選出が時に難しいことがありますが、休止となる直前の20202月にミャンマーGVでリーダーを務めようと思われた動機を教えてください。
    私が当時リーダーを務めた動機は、自分にしか作れないチームを作りたいと考えたからです。当時の同志社ハビタットにはメンバーを引っ張れるリーダーシップ溢れる同級生が多くいました。同時に自分はあんな風に人を引っ張ることは出来ないとも考えていました。そこで私は発想の転換をしてみました。メンバーが僕のことをリーダーと認めればどんな形であれリーダーなのだ。自分らしくメンバーが前を向けるように背中を押してあげられる、そんなリーダーになろうと考えました。自分らしいリーダー、自分にしか作れないチームを作ることは今後の同志社ハビタットにとって新しい何かを生み出すきっかけになり、活動の輪が広がっていくことに繋がる。そう信じ、私は私にしか作れないチームを目指しリーダーを務めました。
  • リーダーとしてGVチームを率いたことでご自身の中に変化はありましたか?
    言葉に気を遣うようになったことです。言葉とは言っても普段の言葉使いではなく、言葉の持つ意味についてです。例えば「成長」という言葉がありボランティア活動でよく聞く言葉だと思います。しかし人は異なる成長を見せるため「成長」の持つ意味は人によって異なります。このように言葉とは誰かに伝える時に意味が変わるのです。リーダーをする際私はこの言葉の意味の変容に気を付けました。GVで言うとチーム目標やHOさんとの関係などが特にアンテナを張っていました。GVリーダーでこう言った部分に気を付けていたことは社会に出た現在でも役立ち、大きな財産になっています。
  • 3度目のGVから3年を経た2023年、改めて4度目のGVに参加したきっかけを教えてください
    2023年春GVに参加した理由は、GV初参加のメンバーで構成される3年ぶりのチームを生きて笑顔で日本に返すためでした。どんな形であれ3年ぶりのGVは必ず今後の同志社ハビタットの発展の糧となると考え、とにかくトラブルなく全員を笑顔で日本まで連れて帰ろうとしました。同志社ハビタットは特にGVにおけるリスクマネジメントのルールが厳しいのでそういった部分の意識をメンバーに持たせたかったんです。最終的には大きなトラブルもなく終わることが出来てほっとしました。
  • 2023年春GVで最も印象的だったエピソード(特に支援対象となった家族”ホームオーナー”さんとの交わり)を教えてください。
    最も印象に残っているのは、ホームオーナーさんにインタビューした際のホームオーナーさんの言葉です。私たちの「家を建てる以外に私たちに今後出来ることで何を期待しますか」という質問に対し、彼は「私たちではなくまた次の人を助けてあげてほしい」と答えました。自分たちも苦しい環境で生活をしていても、私たちに支援の輪を広げ次の誰かにその支援の輪を繋いでほしいと答えたのです。この言葉を聞いた瞬間、私たちがこれから何をすべきかやホームオーナーさんたちの気持ちなど様々な想いが湧いてきました。 


  • GVに普遍的価値や魅力あれば教えてください。
    私は4回GVに参加してきましたが、毎回「これを超える体験はないな」と思わせてくれるところこそGVの魅力だと思います。現地での体験も毎回変化がありました。考え続けて行動し真摯に活動に取り組むことで、GVは新しい達成感を毎回もたらしてくれました。自分次第で様々な姿をみせてくれたこと、これは4回のGVに共通していた大きな魅力だと思います。

 

社会人となり、忙しい毎日を送る中、沢山の質問に丁寧に答えてくださった大島さんに感謝いたします。大島さんは、この春のGVでは一メンバーとして リーダーをサポートすることで、同志社ハビタットによるGVへの参加を後押ししてくださいました。春GVを全員が怪我も大きな病気もなく終えることができたことで、この夏も同志社ハビタットはGVへのチーム参加を予定しています。

大島さんにGV参加を迷う学生にメッセージをお願いすると海外ボランティアは高い志や理想が必要だと感じハードルが高く見えるかもしれません。。でも安心してください。参加する理由は何でもいいと思います。楽しそうだから、実現したい世界があるから、人の数だけボランティアに参加する理由はあり、そのどれも他人が否定出来るものではありません。あなたが感じたGVに対する想いを大切に、是非一度GVの世界に飛び込んでみて下さい。GVに向かって勇気を持って踏み出した一歩はきっとあなたにプラスな“なにか”をもたらしてくれます。そしてその“なにか”が持つ可能性は無限大です。自分を信じて進み、あなたのGVを作ってくれたら嬉しいです」とメッセージを寄せてくれました。

「楽しそうだから」そんな動機から4度のGVに参加してくださった大島さんは、これまでにタイ、ネパール、ミャンマー、そしてカンボジアで住まいを必要とする家族の家建築に参加し、ご自身だけでなく同志社ハビタットの仲間に支援の輪を広げることを実践すると共に、毎度のGVを真摯にとりくむことで新しい価値観、そして学びと成長を得てきてくださいました。GVは支援に参加する一つの手段であると共に、参加くださるボランティアの皆さんにとっても新しい価値観に触れ、学ぶことができる「ボランティアx学び」のプログラムです。この夏、そしてこれからも日本から多くのボランティアの方が参加し、日本から支援の輪をつなぎ続けてくださることを願っています。大島さん、改めてご卒業おめでとうございます。そして貴重なメッセージをありがとうございました。