「どんな風になるのかと思っていたら、とても片付いてびっくりしました」と話すのは、清掃・片付け支援を通じて、居住環境の改善を実施した木村さん(60代・仮名)です。木村さんは膝と腰に慢性的な傷みがあるうえに、肥満傾向のため、前にかがむことが一苦労です。そのため、ご自身では日々の片付けができず、部屋の床一面が生活ごみに覆われていました。それでも、生ごみだけはご自身で定期的に片付けていたこともあり、害虫の発生は免れていました。しかし、体が思うように動かない木村さんにとっては、居室内は転倒の恐れが潜む危険な状態です。木村さんが今のお住まいにお一人で安心して、そして安全に暮らしていくためには、ヘルパーなど第三者による日常の生活援助は欠かせません。そこで、サービスの利用を開始するにあたり居室内を一旦整える必要があることから、高齢者支援センターの相談員からハビタットに清掃と片付けの相談が寄せられました。

片付け当日は、ハビタットの企業サポ―ターであるブルームバーグから社員の方がボランティアとして活動に協力くださいました。集まったボランティアの方々は、木村さんが暮らしやすいよう、積極的にアイデアを出し合い、新たに設置するごみ箱の位置なども真剣に検討くださるなど、チームワークを発揮されていました。片付けを進める中で芸術系の雑誌が多く見られると、木村さんの趣味をきっかけにボランティアと木村さんとの間に会話が弾み、和やかに片付けが進みました。

木村さんは病院での診断は受けていませんが、軽度の知的障害の疑いがあります。数年前に現在のアパートへ転居されてきたそうですが、箱にしまわれた新品の布団は置きっ放しにされていたほか、窓の高さに合わないカーテンがつけられたままでした。お話をする中で、木村さんお一人ではそれらをどう設置していいか分からないという様子が伺えました。そこで、部屋の片づけが一旦落ち着くと、ボランティアの皆さんで真新しい布団をお部屋に敷き、新しいカーテンをつけるお手伝いもしました。半日の活動でしたが、こうして木村さんの住環境は見違えるほど改善され、ご本人も大変驚き、喜ばれているようでした。

  • Before

  • After

一方で、木村さんがゴミを自分で片付けるという習慣が身につくには時間がかかるのも事実です。一日も早くヘルパーサービスを導入しなくては、居住環境が再び悪化する恐れがあることから、相談員さんはサービス導入に向けて急いで対応くださっています。様々な人が関わりながら、木村さんが安全な住環境で安心して住み続けられるよう、ハビタットもその一助となるよう支援を継続してまいります。