暑さも和らぎ秋晴れの気持ちいい10月のある日、連携する困窮者支援団体つくろい東京ファンドの声掛けにより、外国人向けのシェルターとして活用が予定されているアパートの清掃活動に、ハビタット・ジャパンのキャンパスチャプターに所属する学生と共に参加しました。このアパートは、住まいに困っている外国人が多くいるという話を聞いた大家さんが、「古い建物ですがぜひ使ってほしいです」と申し出た建物です。改修工事を行う前に、汚れが蓄積した台所やトイレ、壁などを清掃するために、つくろい東京ファンドが持つ生活困窮者向けのシェルターを卒業した方や、シェルター入居中の外国人の方、また連携団体のスタッフ、そしてボランティアなど10名以上が集まり、共に汗を流しながら活動しました。

つくろい東京ファンド主催の定例ミーティングには、ハビタット・ジャパンを含む連携する複数の団体が集まり、生活困窮者への包括的な支援に向けて協力体制を構築しています。ハビタットでは、同団体が所有するシェルターから卒業し、地域で生活を始める方のために住まい探しをお手伝いするほか、必要に応じて自立後の見守りを行っています。そうした中、近年は外国人、とりわけ「仮放免」と呼ばれる立場にある方からの相談が定例会議の議題に上ることが増えてきました。仮放免とは、正規の在留資格がない方たち(多くは難民申請中の方たち)で、「出入国在留管理庁」(入管)による外国人収容施設への収容が一時的に免れた状態のことを言います。仮放免の外国人たちは、就労や登録地域外への移動を禁じられ、医療保険に入ることができないなど制限の多い暮らしを余儀なくされています。また、生活保護などの公的支援も受けることができないため、友人や知人など頼る人がいなければ生活していけず、住まいを失くしてホームレス状態になってしまう方もいます。そうした仮放免の方が置かれる厳しい現実の中、今回の大家さんのようにアパートを提供してくださる方の存在はとても大きなものです。

ハビタットの学生支部に所属する原田さんは建築関連について学んでいることから日本の住宅環境に関心を持ち、今回の清掃ボランティアに参加してくれました。活動後、次のように感想を寄せてくれました。

日本における外国人の在留資格はかなり厳しく、外国人支援を行うにはいくつかの壁を越えなければならないように思いました。それを一緒に乗り越えようと行っているのが、今回の活動のようなことであるのかなと感じます。本当に様々な知らない問題を知ることができ、自分にとっても学びの機会になりました。ぜひ他の学生たちにも経験してほしいと思える活動でした。」

私たち日本国民は、日本国憲法で明記される「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」により衣食住が基本的に守られる状態にあります。しかし、日本にいる外国人の方たち、とりわけ「仮放免」の方たちは守られる権利を一切持たず、こうした方々が置かれている現状は、まだ私たちの間でも広く知られていません。仮放免状態にある方が抱える課題は、知れば知るほど根深く、そうした方が日本で最低限度の生活を維持していくためには、前述の大家さんのような個人の善意や民間団体の支援に頼るなどするしか、現在は方法がありません。まずは問題を知ることが社会変革につながる一歩になると信じ、ハビタット・ジャパンでは、今回のような場を通して多くの学生やボランティアが知るきっかけを持てるように、引き続き様々な団体と連携しながら活動してまいります。