ロシア軍によるウクライナ侵攻から半年、この間住まいを専門とするハビタットはウクライナの隣国をはじめ周辺国で避難民の支援を継続してきました。

ウクライナ人道危機発生以前からウクライナの隣国で活動していたことにより、危機発生直後からポーランドやルーマニア、ハンガリーで、戦禍を逃れて避難してきたウクライナの人々への支援に取り組んでいます。避難してきた家族が、数日間体を休められるように、また避難してきた家族のニーズに合わせて、中期的、また長期的な住まいを支援できるよう、この半年間、各国では、3つの支援フェーズに分けて緊急支援に取り組んできました。(3つの支援についてはこちら

6ヵ月レポートはこちら(英文)

 


数字でみるウクライナ緊急支援から半年

 

人道危機から半年、社会的緊張の高まり

ウクライナ情勢により、物価の高騰は欧州全体に広まり、避難民を受け入れる国々でも社会的緊張が高まりつつあります。7月上旬にグローバルなデータ統計を行うYouGovが行った世論調査では、ポーランド国民の4分の1以上(27%)が、「政府は難民の受け入れや支援に力を入れすぎた」と答え、調査対象となった欧州諸国の中で最も高い結果となりました。一方、「政府はまだ十分なことをしていない」と答えた人は全体の22%に留まり、「ほぼ適切」との回答が全体の39%に上るなど、エネルギー価格と物価高騰によるインフレが社会的緊張を高めつつあります。

避難民が置かれる今

ポーランド政府による避難民への住宅支援期間である半年を迎え、生活基盤となる住まいの確保がますます困難になっています。特に、避難民に無償で貸し出される居室のストックが欧州で減少傾向にあります。中には、仮住まいとなるアパートの退去を余儀なくされ、一時的な避難先となるシェルターやホテルに戻らざるをえなくなる人々がいます。一方、避難民のために開設されたシェルターの中には、侵攻から6ヵ月が経過し、資金不足などの理由から運営を継続できず、閉鎖を余儀なくされる施設があります。

今後を見据えて求められる住まいの支援

ウクライナの情勢は悪化の一途をたどっています。特に東部と南部ではいつ軍事攻勢が起こるか予測不可能であり、人々は安全な場所を確保できる状態にありません。特に、ザポリージャ原発の安全が脅かされることは、多くの人々にとって脅威です。また、こうした地域では、戦闘により公共インフラが甚大な被害を受け、迫る厳しい冬を前に、寒さを防げる場所を求め、近隣諸国に避難することが予想されています。

ハビタット・フォー・ヒューマニティは、このような状況の変化に対応するため、短期・中期・長期のシェルターニーズに応える様々な支援策を用意し、支援に取り組んで参ります。具体的には、ポーランドで取り組む避難民を対象に含むソーシャルレンタルハウジングプログラムの推進による中長期におけるシェルター支援、Habitat ReStoreをはじめとする家財の支援、エネルギー効率化に関するコンサルティングなどを行って参ります。また、政府・自治体への専門家の派遣や、報道機関との連携を通じて、人道危機から生じる住宅問題への関心を高めていく予定です。ハビタットは今後も、政府、市民社会組織、国連とのパートナーシップを活用し、住まいを追われた人々が恒久的な住まいを持てるよう取り組んで参ります。また、他団体と連携することで、ウクライナ国内での支援の機会も模索して参ります。


6ヵ月レポートはこちら(英文)