ハビタット・フォー・ヒューマニティ・ハンガリーは、他団体と連携し『連帯宿泊支援プログラム』を運営し、ウクライナからハンガリーに逃れた避難民が2週間から6ヵ月滞在できる宿泊場所を確保し、避難民に提供しています。アルパドさんはこのプログラムを通じて、避難民の方に住まいを提供したお一人です。アルパトさんに本プログラムへの参加についてお話を伺いました。


ロシア軍による侵攻開始直後から、アルパトさんは「ウクライナの人のために、何とか力になりたい」という思いを抱き、ご自身にできることは何かを考え始めたそうです。「ボランティアという選択肢は、あまり時間のない私にはありませんでした。たまたまFacebookで、避難してきた家族が数か月滞在するための家主を募集する投稿を見ました。これこそ、私ができる最善の方法だと思いました。ボランティアとして活動することは大変素晴らしいですが、私のように子育てや仕事をしながらでは難しいこともあります」。

アルパトさんと妻のクララさんは、『連帯宿泊支援プログラム』を通じて所有する空き室を登録しました。「私たちがプログラムに参加することを知った時、親戚は心配していたようです。けれど、私と妻は、何も心配はしていませんでした。ただ、助けたいと思いから、自分に一番合った方法を見つけたのです 」と話します。

「すべてがあっという間でした。連帯宿泊支援プログラムに申し込んでから数日後、担当者が私たちに連絡をくれました。ブダペストに数カ月間住む場所を探しているお母さんと17歳の娘さんがいたのです」。

登録した部屋は、数か月前にアルパトさんが購入した2軒目のアパートで、改修中でした。3月中旬には、ウクライナから避難した女性とその娘さんが入居することになったので、慌てて改修を進め、なんとか壁を塗り終えることはできたそうです。入居した親子は、戦闘が激しいロシアとの国境に近いウクライナ東部から避難してきた物静かな母と娘でした。

アパートの一室を提供したアルパトさん

「親子は、ブダペストから離れず、長期的に定住することを考えていました。母親は学校の清掃員として働き始めました。同じ建物に住んでいますが、あまり話したり会ったりすることはありません。私が思うに、宿泊場所を提供する場合、家族のプライバシーを確保することが大切です。最初の頃は、いろいろなものを持って行ったのですが、かえって気を使わせてしまったようです。 私たちは、彼らのプライバシーゾーンを尊重し、彼らの尊厳を保ちたいのです。誰にでもプライバシーの確保が必要です」。

『連帯宿泊支援プログラム』でも、家主は入居する避難民家族と契約書を取り交わしています。家主がすべての条件を提示することは、そこを借りる家族にとっても、安心して暮らしていく上でとても大切です。

「契約書上は6月末の契約です。けれども親子が契約期間の延長を希望するのであれば、もちろんそうします。そうでない場合は、次の住居を探すお手伝いをしたいと思います。何よりも大切ことは、恐ろしい経験をした親子が、何週間も、何ヵ月も住まいを持てないことがないようにすることが大切です」そう話すアルパトさんの行動には、司祭から教わった「何か良いことがあったら、それを他の人と分かち合いなさい。悪いことがあったら、それを自分の中に留めておいて、良いことに変えなさい」という言葉が影響しているそうです。「私はこの原則を守って生きています。分け与えられるものがあれば、それを独占せず、困っている人に分け与えたいです。もちろん、アパートを貸せば収入を得られますが、この親子が必要としているものに比べれば、喜んでそのお金を諦めることができます」そうアルパトさんは話します。


ハビタットは、ハンガリーをはじめ、ポーランドやルーマニアを中心に、ウクライナから逃れた家族が一時的、希望に応じて長期間滞在できる宿泊場所の確保を支援しています。ウクライナ人道危機への支援を引き続きお願いいたします。ご支援はこちらから。