国内居住支援「プロジェクトホームワークス」で取り組む居室内の清掃・片付け支援は、地域の福祉向上に取り組むソーシャルワーカーや住まいの支援に賛同くださるボランティア、時に近隣住民の方々との協力が欠かせません。先日3度の活動を通して居室内の環境改善をお手伝いした小林さん(仮名)の支援では、とりわけ近所に住む自治会長の長谷川さん(仮名)の協力が大きく、長谷川さんの存在がなければ、今も小林さんの室内環境は悪化し続けていたかもしれません。

居室内の片付け・清掃支援を行うなかで時に難しいのは、ホームパートナーであるご本人の「片付けたい」という意思を引き出すことです。外から見れば安心して生活できる環境になくとも、ご本人にとっては慣れ親しんだ環境であったり、時に認知症などによりご自身ではきちんと片付けているつもりであったりもします。また、居室内の環境が悪化しているのをボランティアに見られるのが「恥ずかしい」という思いから、片付けの同意が得られずにハビタットの支援につながらない方たちもいます。おひとり暮らしの小林さん(80代)も、ハビタットで相談を受け付けてから片付けに入るまでにはとても時間がかかったお宅です。初めに相談を寄せてくださったのは、小林さんを担当するソーシャルワーカーの方でした。しかし、小林さんご自身は片付けに抵抗感をお持ちだったようで、私たちが事前の下見に訪れた際には、室内の様子を確認することすら叶わず、支援を実施することができませんでした。

それから一年以上が経ち、再び小林さんの相談がハビタットに寄せられました。小林さんが体調を崩されたことを機に、長谷川さんが小林さんを気にかけ、声をかけたり、必要なものを差し入れたりと手助けをするようになったそうです。次第に小林さんの中に長谷川さんへの信頼が築かれ、長谷川さんの後押しを受けて「室内を片付けたい」と気持ちに変化が生じました。 

分厚いほこりに覆われ害虫も多いお宅でしたが、支援の実施が決まってからは、ボランティアやソーシャルワーカー、また長谷川さんに協力いただきながら、清掃と片付けを進めていきました。3度の活動を通じて、居室内に介護ベットを導入することができ、ハビタットが提供したラグマットと布団セットを敷き、居室内の環境は随分と改善されました。同時に、生活援助のヘルパー利用も始まり、生活環境を維持する目処をつけることが出来ました。

小林さん宅での活動を振り返ると、長谷川さんは全ての活動に参加くださり、誰よりも早く小林さんのお宅に来て、作業を進めてくださっていました。またデイサービスやヘルパーの利用に消極的だった小林さんの気持ちを変えることにも長谷川さんの存在は大きな力を発揮してくれました。「長谷川さんが居たからここまで片付けることができました」と長谷川さんに声をかけると、「一人だったらこんなに片付けられなかったです。ハビタットさんが手伝ってくれるというから踏ん切りがつきました」と教えてくださいました。話を聞くと、小林さんと深く関わる前から、室内の様子が大変な状況であることに気がついていたそうです。ただ、どこまで自分が首を突っ込んでいいのかと悩み躊躇していたと言います。あるとき、長谷川さんから小林さんに福祉サービスの利用について提案したことがあったそうです。その際に「もうすぐ死ぬ年だから大丈夫です」と返す小林さんの言葉を聞き、それは言い換えれば「放っておいて欲しい」というメッセージのように感じたと言います。マイペースに自分の世界で自由に生活してきた小林さんにとって、本当に必要なお手伝いは何なのか、自分のやっていることはおせっかいではないかと迷いながらも、小林さんが体調を崩されたことを機に関わりを深めていったそうです。

清掃・片付け支援を終えて見せてくれた小林さんの表情は、私たちにも見てとれるほど柔らかくなりました。「きれいになって気持ちいいですね。なんだか申し訳ないです」と話す言葉が聞かれ、片付けに参加した皆が安心し嬉しい気持ちになりました。支援を開始してからは、長谷川さんがご近所の方にも声をかけてくださり、地域の方を巻き込み、それぞれができる範囲で片付けを手伝ってくれました。中には、「小林さんのことを心配していたのですよ。たまに荷物を運ぶのを手伝ったりもしていました」と話されている方もいました。清掃・片付け支援を通じて、長谷川さんを中心に元々あった住民同士のつながりが更に深まる様子を目にすることができ、地域の方で小林さんを見守るきっかけとなる場を作れたように感じました。

長谷川さんの様に、ご近所に見守りが必要となるお宅があったとしても、深くかかわることに躊躇されている方は多くいるのかもしれません。小林さん宅での支援は、誰もが住み良い地域を築くには、ソーシャルワーカーによる支援といった公的扶助だけでなく、時に住民同士の共助が欠かせないことを実感するケースとなりました。ハビタットは、今後も住まいに問題を抱える方が安心、安全に暮らせる住まい、そして地域を持てるよう、地域のソーシャルワーカーをはじめ、近隣住民やボランティアなどと多様な連携を図りながら活動を継続していきたいと思います。