昨年より積水ハウスマッチングプログラムの助成を受け開始した「ジャパン・ビレッジ」を、この春も兵庫県の丹波市で実施しました。

「ジャパン・ビレッジ」は、キャンパスチャプターに所属する全国の大学生を対象に、地方部の過疎地域を訪問し、人口減少や高齢化など、日本が抱える社会課題への理解を深めると共に、過疎地域で取り組まれる住民主体の地域活動を学ぶ機会を提供し、そうした活動の一環として取り組まれる古民家改修プロジェクトに建築ボランティアとして参加する国内ボランティア企画です。ハビタットは、この企画を通して、次世代を担うキャンパスチャプターの視野を広め、活力ある地域社会をつくることを目指した「地方創生」の一躍を担う人材の育成を目指しています。

この春は2チーム、計16名の学生がジャパン・ビレッジを通して、古民家改修プロジェクトにボランティアとして参加したほか、丹波市でまちづくりに取り組む3つの団体の方から、それぞれが取り組む「まちづくり」についてお話を伺いました。丹波市でまちづくりに関して行政と市民団体の連携を図る中間支援に取り組む「丹波市市民活動支援センター」の戸田様からは、少子高齢化が進む現状と、そうした現状に向き合い未来に求められる地域の在り方について、そして自治会が立ち上げた法人「ゆめの樹」を訪問し、専務の柳川様より、自治会法人設立の背景、そして自治会が描く未来についてお話を伺いました。また、丹波市の中でも過疎地域として指定される青垣町佐治地域を拠点に古民家改修や移住促進に取り組むNPO法人佐治倶楽部の植地様からは、改修した古民家を生かした地域拠点の活用についてお話をいただき、佐治地域でこれまでに改修された古民家のいくつかを訪問する機会を頂きました。

「まちづくり」への理解をふかめた上で行動にかえるのが古民家改修への参加です。「持続可能な丹波地域づくり」を目指して移住定住促進をはじめ古民家などの地域資源の利活用促進事業に取り組む一般社団法人Beの活動にボランティアとして参加し、地域の交流拠点としての利活用を目指す古民家の改修に参加しました。この古民家は、昨秋に実施したジャパン・ビレッジでも改修に携わり、当時はキッチン棟の解体を中心に活動しました。その後大工さんによる改修が行われ、間もなくキッチン棟が完成します。そこで、生まれ変わったキッチン棟の仕上げとして、この春は、新たに敷き詰められたコンクリート床の磨きや、建具やフローリングのニス塗などの改修作業に参加しました。

多くの学生にとっては初めてとなる作業ばかりで、ニスを塗るための養生テープ貼りも最初はうまくいきませんでした。建具など養生箇所が多く、一日の作業では、養生テープを貼るだけで終わってしまうのではないかと心配したものの、次第に作業スピードがあがると共に、チームワークも発揮され、予定されていた全ての作業を無事に終えることができました。

ジャパン・ビレッジに参加した学生からは、「養生テープを貼りすぎて、腕が筋肉痛になりました」といった声や「もっと改修に参加したいです」と、初めての建築ボランティアに楽しさを見出した声が多く聞かれました。また、企画を通して学んだまちづくりに関して「過疎化が悪いことだと思うのではなく、人口が減ることに対応した地域の在り方を作ろうと、その地域の住民が主体的に取り組むことで、より良い地域を作り上げていると感じられました」といった声や「丹波での取り組みは私の地元でもできるんじゃないかと思いました」といった感想が寄せられました。そして、参加したどの学生からも、ジャパン・ビレッジへの参加を通じて、他大学のキャンパスチャプターメンバーと時間を共有し、丹波でのまちづくりに触れ、まちづくりに取り組む方の思いを直接伺うことで、視野が広がり、価値観を深めることができたという感想が聞こえてきました。

私たちの生活の基盤は住まいであり、その住まいを取り巻くコミュニティは私たちが安心して、豊かに暮らしていくためには欠かせせません。まちづくりはコミュニティを持続可能な場所にかえる取り組みであり、本企画の実施に助成くださった積水ハウスマッチングプログラムをはじめ、まちづくりへの理解を深めるために、ボランティアを受け入れてくださった団体の皆さま、また参加くださったボランティアの皆さんに心から感謝いたします。