「『実家だから』、と退所後も会いに来てくれる子どもがたくさんいますよ」そう話すのは、神奈川県にある某母子生活支援施設の職員の方です。ハビタットでは、ジョンソン株式会社にご支援いただき、2112月、本施設内にある一室の修繕を実施しました。

本施設は戦後まもなく開所され、現在は児童福祉法に基づく母子生活支援施設として神奈川県より委託を受け運営されています。施設には、生活が困窮する母子や家庭内での暴力が原因で住まいを失った母子など、さまざまな事情を抱えた母子が暮らしています。こうした施設は、母子が安心できる環境を作り、気持ちに寄り添いながら生活や就労、子育てなど必要なサポートを専門スタッフが行うことで自立をサポートする、母子の生活基盤を築く上で欠かせない大切な居場所です。

中庭を囲う施設の建物には、計23室(3室が緊急待機部屋)が構えられています。クリスマス前には、中庭の木に装飾がされていたほか、施設のいろいろな場所に心温まる絵が描かれるなど、居心地の良さが感じられます。「建て直しの際に職員でどんな部屋を作るか話し合いました」と教えていただいたように、各部屋の間取りは、全て6畳2間の2LDKで、どの部屋も南に面しているため冬でも暖かく、過ごしやすい空間が広がっていました。

施設での滞在期間は原則2年を基本とし、この間に母子は必要なサポートを受け、施設を退所し、新たな一歩を踏み出していきます。しかし、中にはやむを得ず、お母さんと子どもが離れて暮らす選択が必要となるケースもあるそうです。それでも、「この施設の良さは、子ども達がお母さんと暮らすことができ、一緒に行事を楽しみ、お母さんをはじめ信頼のおける大人に愛されていたという記憶を子どもたちに作ることができることです」と伺いました。虐待を受けた子どもの中には、大人に恐怖感を持つ子も多く、施設でお母さんや施設職員と過ごすことで、自分を大切にしてくれる人、そして信頼できる大人がいることを知ることは、子どもの発育に重要な役割を果たすと教えてくださいました。

ハビタットが修繕支援を実施した一室には、8年前に行われた施設の建替え以来、とある母子が暮らしてきました。精神的な障がいのある母親であるために、施設職員をはじめ、必要に応じて訪問看護やヘルパーサービスを利用するなどして、母子の暮らしを支えてきたそうです。しかし、母親の入院を機に、母と子はそれぞれ近隣の別施設に移り暮らすことになりました。多くの場合、母子の退所時には、施設スタッフが部屋のクリーニングを行い、新たな家族を迎え入れる準備をするそうです。しかし、退所した母子の部屋は、8年の歳月とは思えないほどに傷み、壁は黄ばみ、床はあちこちに穴があくなど、大掛かりな修繕を必要とする状態でした。修繕に掛かる費用は通常であれば利用世帯が賄うものの、母子が負担できる状態にはないため、施設スタッフはその費用をどう工面するか、頭を抱えていたそうです。

本施設は、2021年4月にジョンソン株式会社と修繕支援で協働を開始してから取り組んだ5つ目の施設です。今年の5月末までに、更に3カ所の施設修繕を予定しています。安心・安全に暮らせる住まい、それは、明日への活力を養い、安定と自立を図る生活の基盤です。施設修繕支援を通じて、子ども達の未来への懸け橋となる安心・安全に暮らせる住まいの実現に向けて本施設の修繕をご支援くださったジョンソン株式会社に感謝申し上げます。