「こうして協力してくださる方たちがいると、片付けが進みますね。かなりお部屋の状態が改善されたので、大変助かります」そう話すのは、ハビタットで清掃・片付け支援を実施した山本さん(仮名)を担当する地域の生活支援員さんです。山本さんは30代の男性で、ご自身が持つ精神的な障害の特性から気持ちに波があります。そのため、気分が落ち込むと布団から起き上がれなくなってしまい、部屋の中は、床に衣類が積み重なり、溜まった生活ごみから害虫が発生してしまうという、不衛生な状況が見られました。

こうした状況を見かねて、支援員さんが限られた訪問時間の中で、幾度となく山田さんのお宅の片づけをお手伝いしてきました。居室内を机まわり、キッチンまわり、ベッドまわりなどの区画に分けて、一か所ずつ進めるなど工夫されてきたそうですが、片づけた場所との境目がすぐに分からなくなってしまい、今後の対応に悩み、ハビタットに相談が寄せられました。

山本さんのお宅での片づけには、学生ボランティアが参加してくれました。支援員さんも活動当日に駆けつけてくださり、まずは、室内の物を廊下に運び出し、それから床や机の拭き掃除に着手しました。冷蔵庫裏やキッチン周りには害虫が多く、特に大変な作業でしたが、手分けして室内の片付けを進めることができました。活動実施前の事前下見では、布団から起き上がるのも辛そうだった山本さんですが、この日はボランティアが来るということもあり、山本さんご本人も張り切って片付けに参加くださいました。そして、トイレなどの洗面所まわりは山本さんが担当くださり、活動を終えるころには、ピカピカに磨き上げられていました。

山本さんのお宅はクローゼットなどの収納が無く、寝具は、ベッドフレームが壊れ残された古いマットレスを使用されていました。そこで、居室内の環境を整えるために、清掃と片付け支援にあわせて、ハビタットから折り畳みベッドと新しい寝具、衣類収納ケース、そしてごみ箱を提供しました。ベッドにすることで、ベット下に収納スペースが生まれ、床に積み上げられた洋服を衣装ケースに収めることができました。また、真新しいごみ箱にごみ袋を取り付ける作業をボランティアと確認する山田さんの姿もみられました。片付けを終えると、山本さんも安心感からか思わずベッドに横になり、とても嬉しそうにする笑顔が見られました。

ハビタットの支援は終了しましたが、今後も支援員さんが定期的に山本さんのお宅を訪問し、必要に応じたヘルパーサービスの利用につなげることで、山本さんがご自宅で安心して暮らせるよう生活を見守ってくださるそうです。ハビタットの国内居住支援プロジェクトホームワークス(PHW)の清掃・片付け支援には、高齢の方や障がいをお持ちの方などが地域で安心して暮らせるよう、日常生活をサポートする支援事業所や相談センターといった様々な福祉関係機関から相談が寄せられています。清掃・片付け支援で整えられた住まいが一時のものにならないよう、引き続き関係機関との連携を大切にしながら活動を続けてまいります。

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