「ハビタットのスタッフが来ると聞いて、眠れなかったわ」、そう話すのはタイのクラビ県アオルーク郡バン バガンに暮らすトハーブさん一家のお母さんです。 バン バガンは、クラビ県の観光エリア、ビーチに面したアオナン地区から車で北西に向かって30分程度に位置する、海に近い川沿いの村です。約450世帯が暮らすこの村の主な収入源は漁業です。2014年頃からは、住民の生計向上を目指して村全体でバティック作りやマングローブ探索などの観光業にも取り組み始めています。 この村で育ったトハーブさんは、2歳から20歳までのお子さん4人を抱える6人家族です。この村の多くの男性と同じく、トハーブさんも漁業を生業にしています。以前は川沿いの家に暮らしていましたが、2004年に発生したスマトラ島沖地震による津波で沿岸の水位があがり、現在一家が暮らす内陸の土地に移り住みました。トハーブさんはその土地に、地元で取れる竹材や、アルミシートなどを利用して家を建てました。仕切りのない空間に6人で暮らし、竹の壁には無数の穴が空いていました。また、嵐が来ると家が倒壊しそうになってたと話します。しかしながら、トハーブさんの収入は月にTHB15,000(4万5000円)程度の上、漁量によって収入は安定しません。一方、お母さんは2歳の娘を抱える上に、喘息を患っていることから、仕事に就くことができていません。生計を手伝うために漁業を開始した息子さんたちの収入を合わせても、一家の収入は6人の生活を最低限まかなうことで精一杯でした。 「自分たちには、50年、60年かかっても、こんな素敵な家を手に入れることはできなかったわ」、そう話すお母さんの目にはたくさんの涙があふれていました。 ハビタットは、劣悪な住環境に置かれたバン バガンの家族に家の再建を支援して行くほか、この村の自立的発展に必要な支援を包括的に取り組んでいくために、8月からバン バガンで海外建築ボランティアプログラム(GV: Global Village Program)に参加するGVチームの受け入れを開始しました。しかしながら、8月に発生したプーケット県の爆弾事件を受け、バン バガンを始め、タイ南部におけるGVチームの活動中止を余儀なくされました。日本のGVチームが支援を行う予定だったトハーブさん一家をはじめ、支援を待つ家族の期待に応える為に、地元住民の力を借りて5世帯の住居建築を実施しました。トハーブさん一家は、バン バガンでハビタットが住居支援を行った最初のご家族です。 「子ども達の成長をとらえた写真を飾るスペースができて嬉しいわ」、そう壁に飾られた写真を指差しながらトハーブさんは話します。また、幼い頃から自分の部屋を持てたことがないトハーブさんにとって、一番のお気に入りは寝室をもてたことだと教えてくれました。 トハーブさん一家がハビタットと一緒に建てた家は、豪華ではないけれども、居間に2つの寝室、それにこれまでの家にはなかったトイレ、そしてキッチンが備わった家です。ハビタットの家が一家にもたらしたもの、それは一家が安心して暮らせる場所以上のもの。家が家族に希望をもたらし、叶う日がないだろうと望んでいた夢がハビタットと共に叶えられたことで、一家は新しい未来を刻み始めています。「これからは、子ども達の成長のために貯蓄をしたいわ」、そう話すトハーブさんの目には未来への希望が溢れていました。 バン バガンには、トハーブさん一家のように、支援を待つ家族が100世帯ほど暮らしています。GVチームとして、また寄付者として、この地域の家族が一日も早く健全な家を持てるよう、GVコミュニティ支援にご協力ください。 ※GVチームとして支援する。GVチームへの参加申込はこちら。 ※GVコミュニティ支援に寄付をする。寄付はこちら。 ◆ バックナンバー 2016.08.24 : 【GVコミュニティ】トハーブさん一家に安心・安全に暮らせる住まいを 2016.06.08 : 【GVコミュニティ】今夏よりインドネシアとタイでコミュニティ支援を開始
【GVコミュニティ】タイ:トハーブさん一家の今
2016/11/15