ハビタット・ジャパンは、国内で、恋人や配偶者からの暴力(DV: ドメスティックバイオレンス)などにより安心、安全に暮らせる住まいを失った女性とその家族を保護し、自立に向けたサポートに取り組む公益財団法人日本キリスト教婦人矯風会の活動を応援しています。2月より、月に一度、学生支部(キャンパスチャプター)のメンバーを中心にボランティアを施設に派遣することで施設の運営をサポートしています。
5月21日(土)、ハビタット・ジャパンでインターンを務める早稲田大学WHABITAT所属の村田さんがキャンパスチャプターのメンバー3名を率いて、施設でボランティア活動を行いました。活動体験談はこちら:
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20160525.jpgこんにちは。ハビタット・ジャパンでインターンを務める村田です。シェルターを訪問し、これからやってくる夏に向けて、エアコンのお掃除と、床のワックスがけをさせて頂きました。
シェルターを訪問し、まず施設の方からシェルターとはどういう場所か、シェルターにこられる方の背景や施設を運営する中で何を大切にしているか、などお話ししていただきました。私たちが訪問したシェルターは、様々なやむを得ない事情で住まいをなくした女性たちが命からがら駆け込む場所です。その多くは配偶者からのDVに逃れてくる女性たち。子どもとともに避難してくる女性も多くいらっしゃるとのことです。そして、シェルターでは、女性と子どもたちの安全を守るために、施設の住所は完全に非公開で、厳しいセキュリティによって守られています。ここでは安心で安全な居住環境を保つため、様々な工夫が欠かせないと教えてくださいました。衛生的で片づけられた、きれいな空間。ほっと安心できる、どこかアットホームな環境。そんな住まいを実現するために、ボランティアの協力を得ながら職員の方々は日々奮闘しているそうです。私たちも、女性たちが少しでも快適に過ごせるよう、心を込めてお掃除させて頂きました。
シェルターに来る女性たちはまず、区役所や市役所などの地方自治体の窓口に赴きそれぞれが抱える事情を説明します。相談を受けた地方自治体が紹介する緊急避難シェルターの一つとして挙げられるのが私たちが訪問した施設です。シェルターにようやく辿り着いた女性たちの中には温かいご飯ときれいなベッドを目の前に思わず安堵のため息をつく方も少なくないそうです。女性たちは2週間ほどシェルターに身を置きながら、地方自治体の職員の助けを得つつ、新しい生活に向けて準備を整えていきます。
ここで、一つの疑問が浮かび上がります。「なぜ、2週間しかシェルターに身を置かないのか。」そこで、この疑問を紐解くうえで鍵となるのが、「住所非公開」であることです。住所非公開の場所に身を置き続けるということは、自分の住所を持たないということ。これにより、様々な社会的制約を避けずにはいられません。例えば、住所を持たないことによって自分の身元を証明することができないため、職を得ることも、生活に必要な様々な契約(携帯電話の契約など)も不可能になります。女性たちが新たな人生のスタートを切るためには、自立をしていくことが不可欠なのです。シェルターでは、こうした女性たちが自立するための準備を行う環境を整えています。
今回のボランティアに参加してくれた神田外語大学Habitat for Humanity KUISに所属する渡邉さんは、「今までこういったいわゆる『女性シェルター』という存在について、どこか遠い世界のように今回のボランティアの経験を通して、もっと身近に感じることができた」と話してくれました。お掃除をする私たちに笑顔で挨拶をしてくれる入居者の方々を見て、今までなんとなく暗いイメージを持っていた女性シェルターに、明るさと心地よい生活感を感じることができたといいます。また、武蔵大学A'tの大島さんは、「今回のボランティアを通して、このようなシェルターだけでなく、行政が身近に感じられるようになった。自分の身の周りに困っている人がいたら、まずは地方自治体の役所に行ってみるように勧めることができるようになったのが、今回のボランティアにおける大きな収穫です」と語ってくれました。早稲田大学WHABITATの金田さんは、「シェルターへの支援は、住まいの問題に取り組むハビタットが日本国内の住居問題に関われる一つの形だと感じることができた」と話します。シェルターでのボランティアを通して私たちは、日本国内の住まいの問題についても何通りものアプローチ方法があると、知ることができました。普段、当たり前のように居住環境を享受している私たち。「住まい」が私たちの生活にもたらすありとあらゆる効果について改めて再認識ができた機会でした。これからもこういった様々な活動を通して、「誰もがきちんとした場所で暮らせる世界」の実現を目指して学生が取り組めるアプローチ方法を模索していきたいと思います。