西インド諸島の小国ハイチは、2010年1月に発生した地震により甚大な被害を受けました。105,000戸の家屋が全壊し、85,000戸が損壊した上、インフラも大きなダメージを受け、150万人もの人々が住む場所を失いました。
ハイチは、地震発生以前から西半球の最貧国と言われ、人口の4分の3が一日二ドル以下で暮らす貧困層でした。元々土地の権利関係があいまいで、無権利の土地に建てられた家屋が多く、また、建築基準も満たしていない建築物が大半であったため、地震の被害は一層深刻なものとなりました。さらに、被災後の復興も困難を極めています。たった30秒の地震が、この先の何年間にもわたってハイチに影響を与え続けるといわれています。
その大地震から、5年。それでも人々は復興の道を歩んでいます。
ハビタットの支援
地震発生直後より、ハビタットは被災者に寄り添う活動をしてきました。ハビタットは、地震直後には緊急支援を行い、その後、瓦礫撤去、住居修繕、シェルター建設など、移り行く現地のニーズにあわせた支援活動を行ってきました。ハビタットが2010年に示した「5年間で5万世帯を支援する」という目標は、予定より二年早く2013年に達成することが出来ました。
変わり行く都市部
ここ数年で3万世帯の家族が、首都ポルトープランス北部に位置するカナーンという地域に移り住みました。以前はただの空き地だったカナーンですが、現在は多くの人で賑わい、数年前の面影をとどめません。しかし、政府の都市計画にそって開発された街ではないため、地元政府から行政や技術の面でサポートが受けられません。そして、公共用地の収用手続きや土地の所有権に大きな混乱があるなど、土地に関する係争が新たな問題として浮上しています。
地震から5年、移り行くニーズにあわせ、ハビタットの支援活動も共に変化していきます。