宮城県のほぼ中央に位置する大郷町は、のどかな田園風景が広がる人口8,614人の町です。昨年11月から、ここ大郷町でホームリペア支援を始めました。現在までの3か月間に7世帯からの申し込みがあり、うち3 世帯の修繕工事が終わっています。現在、被災した自宅の修繕工事を待ちわびていらっしゃるのが I さん(82)です。
I さんは、町外れの山際に位置し築年数38年になる自宅で長らく一人で暮らしています。震災当時、一人で自宅にいた I さんは、「さすがに家が潰れるかと思った」程の揺れを感じました。揺れが収まった後に外に出てみると、地盤が下がったせいで自宅に隣接している物置小屋が斜めに倒れかかっていたそうです。「昨年12月の町報にハビタットの修繕の案内を見つけました。無償で家を直してくれるなんて、高齢者を狙った詐欺か何かかと最初は半信半疑でしたが、町報に載っていたのでまず問い合わせをしてみました。」
こうしてハビタットは、建築士と家屋調査を実施。I さん宅は役場から「一部損壊」のり災認定を受けていましたが、この調査によって、実際には「半壊」に相当する程の被害を受けていたことが分かりました。「家の外観を見ると、そうは傷んでいないように見えるんだろうけど、実は家の中の損傷の方がひどくて、浴室の床が沈んでいたり、水道が使えなくなっていたり、タイルが剥がれてきたり、雨漏りが起きたり・・・。一部損壊の認定だと行政からの義援金もないので、お金が工面できなくて修繕できないままでいたら、生活するにつれていろいろと問題が起きて来たんです。」震災後は、玄関と茶の間の割れたガラスだけを入れ替えたそうですが、その他は未修繕のまま。茶の間のサッシや建具が歪んで立て付けも悪くなり、あちこちに隙間が見られ、壊れたガラスに紙を貼ったままの建具も見受けられます。また、浴室の蛇口から水が出なくなってしまったため、台所の水道の蛇口にホースを取り付けて浴室に水を溜めていたそうです。
ハビタットは、この I さんが再び安心できる住居環境を取り戻せるよう、大郷町の地元の業者さんと一緒に修繕プランを練ってきました。業者さんによる施工として、浴室に新しい水道管を取り付け、床と排水管の修繕、そして玄関の雨漏りの補修を行い、ボランティア施工ではタイルの亀裂部分の修繕や内外壁の塗装を行う予定です。(After 編に続きます。)