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9月3日、「地球の歩き方」のダイヤモンド・ビッグ社、旅行会社エスティーエートラベル、ハビタット・ジャパンの3団体が共同企画したボランティアチーム「Japan Hope Builders」が、タイでの活動を終え帰国しました。はじめて会う同士ばかりの学生11名、社会人6名のチームは、現地での作業と交流を重ねるうちに意気投合し、そのチームワークのおかげで8日間のプログラムを無事に完了することができました。

 
今回活動を行ったのはバンコクから北に飛行機で約1時間、タイ第2の都市であるチェンマイ。その郊外の農村に、今回支援をしたSukanya Sipinchaiさん(ニックネームはプイさん)と、夫のJumrat Unjaiさん(ニックネームはカエさん)の家族は暮らしています。30年以上前に建てられた現在のすまいは木造で、シロアリによる傷みが激しく雨漏りが絶えません。     
現在の住まい

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トイレと台所に行くには、一度戸外に出なければならず、不便なばかりか衛生的にも良い環境ではありません。夫妻は将来の子どものために新しい家を持つことが夢でした。しかし二人あわせても月々の収入は2万2千バーツ、日本円にして約7万円です。建築資材費が高騰するタイでは、きちんとした家を建てるられる見通しは到底立ちませんでした。ハビタットの支援を知り、希望を見出した夫妻は、ボランティアとともに家を建てる決意をしました。

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建築活動初日は、ホームパートナーであるプイさん夫妻の紹介、そして作業前の準備運動からスタートしました。事前に自己紹介とオリエンテーションをすませていたものの、ボランティアの皆さんは、建築現場という慣れない環境にまだ緊張気味。しかし、ハビタットのスタッフから「まずは床下に敷く土を運ぼう!」と声がかかると、自然に列を作りバケツリレーがはじまりました。プイさん夫妻も積極的に作業に加わり、建築の第一歩が少しずつ進み出しました。
 
チェンマイは気温が高く湿気の多い雨季の最中です。初日の午前中から大量の汗をかいた作業のあとは、うれしいお昼ご飯の時間。ご飯、スープ、野菜とお肉のいためもの、鶏肉のから揚げ、フルーツがならび、みんなから「おー!」という感激の声が。お昼ごはんは毎日、プイさんのご親戚が手作りで用意してくれました。
 
 
 

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こうして家の主となるホームパートナーの家族と親戚が、作業に加わったり昼食を用意したりと家族ぐるみで建築に貢献をするのがハビタットの「スウェット・エクイティ」という仕組みです。家を「もらう」のではなく「一緒に建てる」こと、それがホームパートナーの自信を支え、自分の家を愛着をもって長く大切に管理していくことにつながるとハビタットは考えています。
 
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建築活動2日目は、午前中で作業をきりあげ、午後は地元の小学校を訪問しました。言葉の通じない6歳から14歳までの全校生徒125名とどのように交流するか最初はとてもとまどいましたが、アイデアを出し合い、歌をおしえることになりました。2学年ごと3つのグループにわかれてもらい、それぞれに「ドレミのうた」の一部をおしえました。練習をおえるといよいよ全員で合唱です。3つのパートがつながってひとつの歌が完成しました。言葉の壁に苦労しましたが、生徒たちはみんな笑顔で楽しげに歌い、とても良い交流の場となりました。合唱のあとは、生徒からタイのダンスをおしえてもらったり、サッカーゲームをしたりと笑顔あふれる間があっという間に過ぎました。
 
建築活動3日目を迎えると、作業にも慣れてチームワークも高まり、作業はますます順調に進みました。中でも、短時間での作業が必要なセメント作りでは、混ぜる水や砂の分量を覚えたチームが、一体となって手早く作業を進めました。また、壁のブロック積みは、はじめはまっすぐに積むことが難しく時間がかかっていたものの、3日目・4日目には、二人一組で効率よく作業できるようになり、すべての壁面を天井近くまで積み上げ、予定した作業を無事終えることができました。また、トイレの浄化槽のための穴掘りも、担当した男性陣の力で驚くほど短時間に進み、無事に浄化槽のタンクを入れるところまで終えることができました。
作業を進めるうちに初日の緊張はすっかりなくなり、ホームパートナー夫妻とも身振り手振りのジェスチャーで交流しながら活動は進みました。
 
建築活動最終日は、家の贈呈式です。村のリーダーはじめ地元コミュニティの方々も集まり、盛大に行われました。カエさんは「こうして家が建ち、これまでにないほど幸せです」と涙ながらに話してくれました。またプイさんは、ボランティアとの別れが名残惜しいのか、一緒にたくさんの写真を撮って思い出を形に残そうとしているようでした。
テープカットを行った家の窓から外を眺める夫妻からは、本当に嬉しそうな笑顔がこぼれました。
 
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夫妻の家は、地元の職人の助けを得て壁の補強、電気の配線、トイレ工事などが今後行われ、1ヶ月ほどで完成にいたります。
 
 
 
 
 
◆参加者の感想◆◇
「新しい環境で新しい人に囲まれてのボランティア活動にとてもわくわくしていましたが、実際に得たものはとても大きかったです。改めて(ホームパートナーの)二人の暮らし、人生において"家"がどれだけ重要かを知ったし、人と協力すること、自分でやるべきことを探すこと、当たり前のことだけど、今回はその点においてとても成長できました」(学生・女性)
「重要な部分(壁など)の作業が多くできて良かった。ホームパートナーさんとも一緒に楽しく作業できて良い思い出になりました」(学生・女性)
「色々な人と素晴らしい出逢いをすることができた」(学生・男性)
「わりと本格的に活動しておどろいた。楽しかった」(社会人・女性)
「タイに住んでいる方々が大変心優しかったです。今後も海外に行き色々な方々と触れ合ってみたいと思いました」(社会人・男性)
「1週間のボランティア活動は自分にとっては、結構長く感じるのではないかと出発前は考えていました。しかし、実際は本当にあっという間に日々が過ぎていき、とても名残惜しく感じています」(学生・女性)
 
ボランティアと家族が一緒に汗をかき、たくさんの笑顔が生まれた8日間でした。次回の開催は、2015年春を予定しています!