長雨が続く7月ですが、梅雨の合間の曇り日に都内で居室内の環境改善を目指す「プロジェクトホームワークス」を実施しました。感染予防から、今回の活動もボランティアの手を借りず、スタッフのみでの実施となりました。

訪問したのは、30代後半とお若い山田さん(仮名)です。地方出身の山田さんは仕事の関係で東京での生活を始めたそうです。しかしながら、次第に精神的な負担から体調を崩すようになり、結果として2年ほど前に仕事を辞め、今は一人自宅で療養しているそうです。ハビタットに相談を寄せてくださったのは、山田さんを担当する保健師さんです。居室内の状況が悪化する山田さんの健康を考え、日常の生活援助として先々ヘルパー派遣も念頭に入れ、居室内を改善してほしいという相談でした。

当日、事務局スタッフ3名に加え、山田さんを担当される区の福祉担当者が活動に加わり片付けを実施しました。山田さんが暮らすアパートは、病気を発症する前から暮らされているお家のため、片付けを進めると、家の中にはサラリーマン時代に使っていた革靴や鞄、たくさんの衣服に加え、トップ営業マンとして表彰されたトロフィーや履歴書なども出てきました。

まだまだお若い山田さん、話しかけると答えてくれる配慮と気力もありますし、住まいの環境を支援後もご自身で保てるよう、片付けを見ているのではなく、一緒に取り組んでもらうよう活動を計画しました。まずは衛生的な生活を営む上で欠かせないトイレやお風呂といった掃除をご本人にお願いしてみると、快く引き受けてくださいました。体調を崩す前はご自身でお掃除されていたこともあり、掃除は思った以上に進んでいきました。駆けつけてくれた区の福祉担当者も、山田さんの姿を見て「(山田さんが)作業の手順を忘れていたこともあると思いますし、またボランティアさんとの交流が自立への一歩になるので(今回の活動は)大変ありがたいです」と話してくださいました。

コロナ禍ということもあり、当日の作業は2時間に限定し、三密を避け、換気に気を配りながらとなりました。どこまで進められるか不安はありましたが、2時間後には居室内の床が見えるようになり、生活ゴミを廃棄し、トイレやお風呂、台所などの水回りは見違えるほど衛生的な状態に生まれ変わりました。

見知らぬボランティアが家の中に入ることを山田さんご自身がどう思われるか聞いてみると、「あの状態で生きてて、精神衛生上良くないとは思っていましたので、人(ボランティア)が入るのが嫌とか言ってられませんでした」そう話してくれました。仕事に復帰して自立していくにはもう少し時間が必要かもしれませんが、片付けを通じて部屋の、そして心の衛生状態の改善を図り、自立に向けた一歩を踏み出してくださったように思いました。

私たちの身近な場所には、山田さんのように居室内の環境改善を必要とする方がいます。家族や友人に頼むこともできず、金銭的には業者等に頼む余裕のない人たちが、一日も早く安心・安全に暮らせる住まいを取り戻せるよう、ハビタットはPHWを通じて居室内の環境改善を支援しています。こうしたPHWの活動は、サポーターの皆さんによるご寄付により支えられています。PHWを通じて、一人でも多くの方が安心・安全に暮らせる住まいを取り戻せるよう、活動へのご寄付をお願いいたします。ご寄付はこちら