ハビタット・フォー・ヒューマニティがグローバルで取り組む海外建築ボランティア「グローバル・ビレッジ(GV)は、12名以上のメンバーからなるチームで支援地に赴き、建築活動を通じて現地の住居問題の解消に取り組むプログラムです。学生たちは渡航前からチームミーティングを重ね、現地の文化や言葉を学ぶこと、ボランティアの意味や自分たちに何ができるのかなど話し合いながら活動への気持ちを高めています。神田外語大学「Habitat KUIS」の吉本夏さん(3年生)は、これまでに3度GVに参加しました。「自分の目で見たもの、体で触れたもの、こころで感じたものを信じることを大切にしたい」そう話す吉本さんは、現地を訪れたからこそ感じられた経験を今も大切に心に留めているようです。吉本さんがGVを通して何を感じたのか、その思いをご覧ください。
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大学3年生を迎えたこの春、GVに参加しスリランカを訪れました。私はこれまでに合計3回GVに参加してきました。だからこそ、今の自分がいると思っています。

初めてGVに参加したのは大学1年生の夏、所属するHabitat KUISのメンバーと共にカンボジアで家建築の活動に参加しました。私にとっては初めて訪れる東南アジアの国。そこにあるのは何もかもが私にとって初めてのものでした。

異国感、5人乗りのバイク、クラクションが鳴り続ける道路、交通ルールがわからない道、ゴミが町中に落ちている光景、犬がさまよう町、茶色の川、他にもたくさん私の目に写り込んできました。小学校から今まで様々なことを学んできましたが、こんなにも自分の目で見たものがリアルなものになる感覚は初めてでした。 そして、実際に私の目で見た世界には、教科書に書かれていないことで溢れていました。 「教科書に書いてあることだけじゃわからない」、ある歌の歌詞がそのまま心に訴えてきました。

5日間の建築活動では、支援先の村で現地の大工さんと共に家を建てる経験を持つことができました。現場では、英語ではなく現地の言葉が飛び交います。全く理解できない、でもなぜか作業ができる、この感覚は今でも忘れられません。コミュニケーションをとる上で、言葉を知らないことを理由に伝える気持ちを諦めるのは違うということを実感しました。また、活動を通じてものづくりの楽しさを知りました。竹を釘で固定し床を作る作業では、竹の床がどんなものになるのか、はじめは想像できませんでした。けれども、完成した床に自分の足で立つとと、竹の力を体で感じることができました。現地で手に入る木や竹を使って家を建てる、その物づくりの面白さや大切さを知ることができました。

2度目のGVは、全国の若者を巻き込みGVに参加するキャンパスチャプター企画「Step to Peace(STP)」チームの運営メンバーに加わりました。STPの運営メンバーとして、約1年かけて全国の大学・専門学生を集め、総勢74名でカンボジアを再訪問しました。大学生活の間で、全国に73人もの友人ができることは想像もしていませんでした!そして、何より素晴らしいことは、STPチームに参加したことで、ゼロからものを作る大変さを学び、73人分の価値観と意見を吸収する経験を持てたことです。自分には何ができるのかを考え、見つめなおすGVになりました。

ここまで書いてきたように、私はGVを重ねるごとに様々なことを経験し、学びを自分に活かせるようになってきました。そして迎えたこの春、Habitat KUISのメンバーと共に3度目のGVに参加、スリランカを訪れました。そして私が確信したこと、それはGVで出会う家族や大工さん、またコミュニティの人たちと交流する時間は、私にとって、とてもかけがえのないものであるということです。現地では、悲しいことも辛いことも吹っ飛ぶぐらいに現場は笑顔であふれています。これから大人になっても、笑顔であふれる空間を大切にしたいと思うようになりました。そして、これまでのGV参加を通じて、沢山感じ、考えることができたことで、自分の将来の夢が見えてきました。

GVが教えてくれたこと、私が一つあげるとしたら、 それは

【自分の目で見たもの、自分の体で触れたもの、自分のこころで感じたものを信じる】

です。インターネット環境も向上しデジタルな世界が広がる今、情報は埋もれるほど沢山あります。だからこそ、自分が実際に見たこと、自分で感じ取ったものを大切にして生きていきたいと私は思います。 様ざまな気づきをもたらしてくれたGVというプログラムに、感謝しています。ありがとうございました。

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実際に現地に赴きその国の姿を目にすることは、事前に学んだことや想像していたこととは比べものにならない経験となるようです。だからこそ吉本さんは、自分自身で見て、触れて感じることが大切だと話します。想像の世界では不安なことも、現地に赴くと忘れてしまうくらい濃い時間が待っているかもしれません。GVを通して様々なことを感じた学生たちによる各国でのGVレポートはこちら