熊本地震の発生から1年が経過した4月21日、ハビタットの活動に取り組む学生団体(キャンパスチャプター)を対象に実施した「災害マニュアルコンテスト」で上位3団体に入賞したキャンパスチャプターから学生9名を連れ、熊本県阿蘇郡西原村を再訪しました。ハビタットは熊本地震発生直後から同年7月末まで、西原村で被災された方の生活再建と住宅再建に取り組みました。仮設住宅に暮らす住民の「収納スペースがなくて困っている」という声に応え、7月末に取り組んだ棚作りワークショップは、ワークショップの実施をお手伝いくださった被災者でもある地元住民の方に引き継がれ、「西原村木もくプロジェクト」という団体が立ち上がり、木工ものづくりを通した住環境の改善が今も続いています。

 西原村に到着すると、まずはハビタット・ジャパンが修繕支援を行った万徳地区の公民館を訪問しました。万徳公民館では、ハビタットが運営のサポートに取り組んだ西原村災害ボランティアセンターで統括を担われた熊本学園大学の藤本延啓先生が、西原村の住民として、またセンターの統括として、地震直後からこれまでの一年の歩みと全国から集まったボランティアが果たした役割などをお話してくださいました。また、藤本先生は「私たちが目指すべきは、西原村を元通りに戻すというより、私たちの手で新しい西原村をつくりあげることです。私たちの新しい人生を、私たちの手で切り拓いていくことです。そして、これまで私たちを助け、護ってくれた人びとと一緒に、それを実現していくことです」と、元の姿を取り戻すだけでなく、震災を機に新しい西原村を作り上げていく思いを学生たちに伝えました。

 続く22日の午前中には、90%以上の家屋が全壊の被害を受けた大切畑地区を訪ねました。地震当日、消防団員として自らも被災しながら救助活動に参加した田中さんのお話を伺いました。ふるさとを守りたい一心で心身ともに大変な時期を乗り越えてきたと話す田中さんは、現在仮設住宅で生活を送られていますが、大切畑での生活再建・住宅再建を目指して地区の住民と毎週のように話し合いを重ねているそうです。午後は、「木もくプロジェクト」の活動にボランティアとして参加しました。出来上がった棚を見ると、住民の方からは「新しく家を建て直しても、そこにこの棚を持っていくね!」との声と明るい表情が見られました。

 限られた時間でしたが、たくさんの地元の方から当時の、そして復興に向けた1年の歩みを伺うことができ、西原村の皆さんが復興に向けて一歩一歩前進されていることを感じる2日間でした。また、復興だけでなく、災害発生時の被害を最小限に抑えるには、日ごろからの地域住民の交流がいかに大切かを知る学びの時間にもなりました。再訪を快く受け入れてくださった西原村の皆さま、そして、今回の熊本再訪にご支援・ご協力くださったジャパン・リニューアブル・エナジー株式会社アルワリード財団の皆さま、ありがとうございました。

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