「持続可能な開発目標(SDGs)」は2001年に策定されたミレニアム開発目標の後継として、世界の貧困を撲滅し、持続可能な世界を実現するために2015年9月に国連サミットで採択された新たな国際目標です。SDGsが採択されて2年、目標達成に向けた各国や民間企業の取組みがメディアで取り上げられることも少しずつ増えてきました。

 世界の住宅問題に取り組むハビタットでも、SDGs目標達成に寄与するため、本目標の達成に積極的に取り組む企業と連携し、貧困撲滅に向けた住宅支援を行うことに加え、SDGsへの理解を図る啓発活動にも力を入れています。

 そこで、この4月、日本を代表する再生可能エネルギー企業の一つ、ジャパン・リニューアブル・エナジー株式会社(JRE:Japan Renewable Energy Corporation)と連携し、SDGsへの理解を若者に図る取り組みを実現しました。JREは日本全国に27の太陽光発電所と2つの風力発電所を持ち、SGDsの目標7「すべての人々に手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保すること」の達成を目指し、国内で大規模なCO2削減を達成している再生エネルギーのリーディングカンパニーです。4月末、JREによる支援を受け、再生可能エネルギーとその将来性について、若者の理解を育む研修を風力発電所のある宮崎県五ヶ瀬町で実施しました。

 研修に招待されたハビタットの活動に取り組む学生支部(キャンパスチャプター)のメンバー9名は、現地に到着するとまずは風力発電所を見学しました。初めて見る風力発電機を前に、学生たちはそのスケールの大きさに圧倒され、建設をリードした担当者の方から多くの企業、地元住民、自治体そして行政が一丸となり、未来を変えることができる発電所の建設が実現したという話を伺うと、壮大な計画に驚き、感動していました。

 発電所見学の後は、五ケ瀬中等教育学校に通う高校生9名を研修に招聘し、ワークショップを実施しました。JREの方から再生可能エネルギーを世界が必要とする背景と再生可能エネルギーの仕組みを学び、その後、高校生と大学生が混合でチームに分かれ、各チームにJREの社員の方がつき、「エネルギーの必要性と私たちにできる取り組み」をテーマに意見交換を行い、発表しました。日ごろから学校の授業などで五ケ瀬町の地域発展について考える高校生と、ハビタットの活動を通じて世界に目を向け、海外で建築ボランティアに取り組む学生が意見を交換することで、高校生からは「五ケ瀬町のエネルギーに関する課題を改めて認識できた」、「大学生の方に力をお借りして、自分たちなりの答えを導き出せた」といった声や、再生可能エネルギーへの理解を深めたキャンパスチャプターの学生からは、「自分たちの行動が直接的に温暖化に結びついているという問題意識が薄かったことに気づいた」という声が聞かれ、双方にとって新しい視点が生まれる発見の多い時間となりました。

 研修の振り返りでは「まずは身近なところからでも地球の問題について自分自身で考えることを始める」という、問題を自分ごとにとらえる意見から、「ヘリウムを利用して空中に浮かせて風力発電をする浮遊型風力発電の開発」「日本で電気自動車を普及させる」といった具体策まで、SDGsの達成に向けて様々な意見が飛び交い、世界が取り組むべき課題について、明日の社会を担う若い世代が真剣に考える機会となりました。

 これからの未来を担う若者の育成は「誰もがきちんとした場所で暮らせる世界」の実現に欠かせないとハビタットは考え、キャンパスチャプターのメンバーをはじめ若者に私たちが目指す世界を牽引するユースリーダーの育成機会を提供していきます。ユース育成にご参加いただける企業の方はこちら<info@habitatjp.org>までご連絡ください。