震災から1ヵ月が経過した2月1日、輪島市門前町で取り組むハビタットの被災者支援に申し出てくれたハビタット・ジャパンのキャンパスチャプターメンバー、幸田さん(大学4年生)が現地に入り、5日間、現場でハビタットの活動をサポートくださいました。毎日の避難所のトイレ掃除を率先くださったほか、避難所への物資配送、健康体操の実施、足湯のサポート、被災家屋からの重たい家電の運び出しなど、日々さまざまな活動を通じて被災された方々に出会い、お話を伺ってきた幸田さん。彼の人生にとって、門前町で過ごした日数は5日間と僅かな時間でしたが、誰かのために体を動かすやりがいを感じてくれたようです。活動に参加した幸田さんからの寄稿文をご覧ください。
~能登半島地震を学生の目から見て学び、将来につなげるために~
2月1日から、私はハビタット・ジャパンの学生ボランティアとして、石川県輪島市門前町での支援活動に参加しました。
私が参加できたのは、全国にある40以上のキャンパスチャプターに所属する3,000人を超える学生たちが、ハビタットの活動を通して今後被災地に赴き、ボランティアとして活動する上で、どういった形で学生が力を発揮できるのかを知ることが目的の一つでした。
学生の自分にできることを模索する一方で、現地に行くまでは体力を使う作業が主だろうと想像していました。しかし、実際にはそのような作業を行う状況ではありませんでした。水が出ないためにトイレが使えず、お風呂は自衛隊が設置したものを2-3日に一度利用する不便な避難生活を続けられる上に、寒さが厳しいなど、多くの人々が避難所での長期滞在に耐え忍んでいました。
私が行った体力を使う作業は、冷蔵庫や洗濯機などの重たい物を移動させるだけの2件で、それよりも多くの人々の話を聞くことに重点を置き、被災された方々が直面する困難や避難生活を送るうえで必要となる物資を聞き出すことに時間を注ぎました。
そして、被災者の方々との会話を通じて、彼らの生活を少しでも楽にできないかと考え、可能な範囲で自分のできることに取り組みました。何気ない一言から、彼らが何に困っているのかを探り、そして、5日間の滞在中で自分にできることを見つけました。
その一つが、日々の「仮設トイレの清掃」です。仮設トイレが汚れているために、避難所ではできるだけ水を飲まないように過ごしているという話から始めたトイレの清掃は、私にとって大きな意義がありました。多くの人が入れ替わり使用するトイレは、時に汚れてしまうこともある上、真冬の屋外に設置され、夜は暗い状態でした。私自身も毎日利用させていただいている避難所のトイレを少しでも快適に利用いただけるようにしたいという思いから、短い間でしたが、毎日トイレをきれいに保つことに尽力しました。ハビタットの学生ボランティアとして、住居環境を改善する活動の一環として、トイレの清掃に取り組むことができたのには、大きなやりがいを感じました。
震災から1ヵ月が経ちましたが、たくさんの方とお話する中で、多くの方の気持ちがまだ生活の再建に向けて動き出せていないように感じました。雪が降り積もる日もある寒さが厳しい時期に、冷暖房も動かない中で片付けに取り組むのは誰にとってもしんどいものかと思います。それでも、季節が移り替わり、暖かくなる頃には片付けが始まり、生活再建に向けたボランティアの力が必要とされる時が来ると思います。それまで、私たちキャンパスチャプターのメンバーは能登半島地震で被災された方々を忘れずに、今できる活動に取り組みながらボランティアとしての準備を整えることが大切だと感じました。こうした機会をくださったハビタットの皆さん、ありがとうございました。
物資センターに土嚢を搬入
避難所で健康体操にトライ
避難所のお母さんたちと談笑
家屋の片付け
洗濯干しの設置
物資の配送
幸田さんが東京に戻られてから、徐々に寒さが和らぎ、2月にもかかわらず能登半島でも上着がいらないほど暖かい陽気を迎える日も出てきました。晴れ晴れとした青空のもと、多くの方々がご自宅に戻り、家の片付けに着手し始めています。それと同時に、ハビタットにもお手伝いをお願いする声が寄せられ始めています。ハビタットでは、2月末から3月末にかけて、キャンパスチャプターの協力のもと、被災された方々から寄せられる片付けニーズに応え、被災家屋の片付けを通じて、被災された方が一日も早く安心、安全に暮らせる住まいを取り戻せるよう、被災者支援への取り組みを続けてまいります。能登半島地震被災者緊急支援にご協力をお願いいたします。ご寄付はこちらをご覧ください。