ハビタットの「今ある住まいを守る」活動では、居室内の清掃や片付けだけでなく、生活導線を整えることでハビタットが支援する方が安心・安全に暮らせる居住環境を取り戻せるよう、重たい家具の配置換えなどもお手伝いしています。
家具の配置換えをお手伝いした川口さん(仮名)は、生まれつき手や身体に麻痺を持つ60代の女性です。とても活発な方で、ライブが好きだと話していた通りたくさんのCDやグッズをお持ちでした。お仕事は、定年退職するまで障がい者雇用でお勤めに出られていましたが、退職したころから次第に体に痛みがでるようになったそうです。これまで出来ていた食事や着替えが自力では出来なくり、以前よりいっそう訪問ヘルパーの助けが欠かせないそうです。それでも、「できる事は自分でやりたい」という思いを強つ川口さんは、リハビリの先生の助言に従いベッドや机の配置を変えて、これまでの床に座る生活スタイルから椅子に座る生活スタイルに変えることにしました。しかし、家具の配置換えは日常生活援助のヘルパーさんにお願いできる仕事ではない上、人手もいります。そこで、障害者福祉センターを通してハビタットに相談が寄せられました。
ハビタット・スタッフが事前の下見に川口さんのお宅を訪れると、理想とする居室内を示した配置図を準備してくださっていました。新しい生活導線を確保した居住環境へと改善するには、ベッドやテレビ、ステレオに棚など、大きなものや配線が複雑なものの移動が多く、大掛かりな配置換えとなることが伺えました。
支援の実施は昨年12月、学生ボランティアの協力を得て、まずは大量のCDやDVDの整理に着手しました。処分するものは多くありませんでしたが、配置換えする棚のほこりを拭きとり、CDやDVDが取り出しやすいように整理していきました。川口さんのお宅はきれいに掃除がされていますが、大きなベッドやテレビを動かすと隠れていたほこりが姿を現します。その都度丁寧にほこりを拭きながら、一つ一つ家具の配置換えを行い、最後には地震に備えて家具転倒防止のポールをしっかり付け直し支援を完了しました。
家具の配置換えを終えると、川口さんはさっそく椅子に座って、テレビが見やすいか、ポットは使いやすい位置にあるかなど、生活導線を確認されていました。「しばらく生活してみないと分かりませんが、暮らしやすくなったと思います。自分の生活動作を改善していきながら出来ることは自分でやっていきたいです」と今後の生活に向けての思いを話してくれました。
緊急事態宣言下ではありますが、川口さんのお宅のように人手が必要となるケースがあります。緊急事態宣言が明けるまでは、感染症予防のためにハビタット・ジャパン事務局はスタッフを適宜総動員することで、寄せられる居住支援要請にこたえていきます。活動へのご支援はこちらよりお願いいたします。