陽気に恵まれた2月16日(土)、総勢10名もの個人ボランティアが集まり、国内居住支援プログラム「プロジェクトホームワークス(PHW:Project HomeWorks)」で居住環境改善の支援を行いました。本日は駒田さん(仮)のお宅にお邪魔し、室内清掃を実施しました。
駒田さんは都内のマンションに奥様とお二人で暮らされています。文学や歴史、芸術に造詣が深く、たくさんの本や雑誌を集められてきました。そのため、家の中は本や雑誌が山積みで、足の踏み場もないほどでした。実は、駒田さんは昨年夏に心臓に病を抱え入院。退院に伴い、生活環境の改善を医師から求められたことがきっかけで、担当の保健士さんからハビタットに居住環境改善の相談が入りました。そこで、スタッフが駒田さん宅を訪問し、昨年の9月から定期的に居住環境の改善に取り組んでいます。
活動を開始した当初は、リビングや廊下はもとよりトイレや浴室をはじめ、居住空間すべてが物に溢れて、窓から陽が差し込まないほどの状態でした。しかしながら、継続的にボランティアの協力を得て片付けを行うことで、今では窓から外が見え明るくなり、居室内の状況は改善されてきました。また、活動当初は仕分けた本や雑誌の多くを整理して段ボールに詰めることはしても捨てることが難しかった駒田さんですが、物の上ではなく廊下の床に布団が敷ける状態になると、徐々に気持ちに変化が起きたようで、本や雑誌を処分していくことに前向きな気持ちになってくれるようになりました。
そして迎えた2月16日の活動では、これまでにない大きな進歩が。今までの活動で仕分けてきた本や雑誌の処分に同意くださり、数えきれないほど大量な本や雑誌を処分することができました!それによってもともと洗面所だった場所に空間ができました。そして、長年にわたり閉ざされていたトイレの扉が遂に開閉できる状態になりました。また、物で埋まっていた洗面台も姿を現しました。駒田さんにとっても、初めて参加したボランティアにとっても、一つ大きな変化を見ることができた活動になりました。
活動終了後は、ハビタット・ジャパン事務局に戻り、ボランティア参加者による振りかえりの時間をもちました。その中で、あるボランティアの方が母親の介護にあたった経験をもとに「ゆっくりと寄り添うことが大切」という経験を共有くださいました。駒田さんにとっても、長年築いてきた生活環境を変えるのは容易いことではありませんでした。本や雑誌を処分する中で「悲しいな」という声も聞かれました。けれども、ハビタットのボランティアと一緒に片付けを重ねることで、ゆっくりですが、着実に一歩ずつ気持ちを変え、奥様と二人で安心・安全に暮らせる住まいを取り戻すために、前向きに取り組んでくれるようになりました。
駒田さんご夫妻が健全な住まいを取り戻すには、まだまだたくさんの時間が必要になりますが、ハビタットは駒田さんが望む安心・安全に暮らせる住まいと思える状態までボランティアの協力を得ながら寄り添い、居住環境の改善に取り組んで参ります。ご参加くださった皆さま、ありがとうございました。