学生ボランティアサークルAt 安藤聖悟さん

 
国内居住支援プロジェクト(PHW:Project HomeWorks)は、国内の住まいの問題に、「今ある住まいを守る」、「新しい住まいに繋げる」という2本の柱の下、20174月から日本で本格的に始まりました。それから1年半が過ぎました。特に、「今ある住まいを守る」活動はボランティアによる清掃支援や修繕支援によって実行してきました。

私は大学のボランティサークルに所属していますが、他大学の学生とも共同で活動するJCC国内係としての活動を開始してきた時期と、PHWが開始した時期とちょうど重なり、これまでたくさん清掃支援活動に参加し、関わらせて頂きました。

新たな挑戦

そしてこの11月はこれまでの活動にはない新しい挑戦をしました。ハビタット・ジャパンより一軒のお宅を集中的に清掃する計画・実施を任されたことです。

毎週一回清掃支援をおこない、学生中心で計画や段取りを立て、活動中もその都度自分たちで判断を下して清掃活動に取り組み、私はそのリーダ-を担いました。依頼主の方は体調が悪く、このままの環境で暮らしていくと病状の悪化につながるということで、住環境の改善が必要でした。天井まで積まれている本や紙類・衣類の山に対し、参加した学生たちみんなで意見を出し合って作業し、少しずつスペースを確保していきました。一緒に整理しながら私たちとお話をしたり、埋もれていたかつての部屋の様子や床がみえていく中で依頼主の方もさらに積極的になり、こちらからの提案に対して快く承諾していただけるようになりました。

  • 作業前

  • 作業後

※写真は一例です。

次世代へ

このお宅の荷物は膨大で毎週清掃支援にご訪問しましたが、まだ荷物はたくさん残っています。
しかし、活動に行くたびに、玄関や廊下を可能な限りご自身できれいにしていたこと、本などの山が減って部屋に光が差すようになったこと、学生主導でできたこと、継続してまとまった支援ができたことは今回の活動の成果となったと思います。
私は、この12月を持ってJCC国内係を引退しますが、このお宅での清掃支援は次世代の学生へ引き継がれ続いていくと思います。そして、依頼主の方にも、この部屋はきっときれいになるというイメージを持って、前を向いてもらうお手伝いはできたのではないかなと思います。

ハビタット・ジャパンのオフィスには今も多くの清掃依頼が来ていますが全てに迅速に対応できるキャパシティが不足しており、ご依頼者の方をお待たせしているもどかしい状況です。そこでハビタット・ジャパンの学生の力はとても必要とされ、期待されていると考えます。

国内での清掃支援の経験と海外での建築活動の経験

ハビタット・ジャパンの提供する清掃支援は、依頼ごとに求められる事の違い、家主さんとのコミュニケーションの繊細さ、その場の状況判断と効率化、活動後の次回計画、事後訪問など、ただ言われるがままに清掃するのではなく、必要に応じてこちらからも提案をし話合い、常に依頼主のご意見を尊重し中心に置きながら、ボランティアと一緒に活動することに意義を感じています。

日本でのこうした活動は、先進国では見過ごされてしまいがちな国内での住まいの問題を明らかにし、適切な生活を営むための支援となり、一人ひとりの生活の質を向上させるという意義も持っています。

  • 不要なものを運びだす様子。

  • たくさん積みあがる不用品。

※写真は一例です。

国内・外の二刀流の活動で広がる見地

ハビタット・ジャパンの活動は、海外での建築活動ボランティア(GV:Global Village)は大変広く知られ、毎年たくさんの学生ボランティアは新しい住まいを新興国で建てています。
一方で、国内居住支援プロジェクト(PHW:Project HomeWorks)は今ある住まいを立て直します。
国内の身近な場所にある住まいの問題への気づきと、きちんとした場所での暮らしを支える一助となるのがこのPHWです。
まずはこの活動に参加をしてくれるだけでも、今のPHWにとっては大きな意味を持ちます。

海外・国内の活動に“二刀流”で参加することが、わたしたち学生にとっても、そしてハビタット・ジャパンの住まいに関わる活動にとっても、見地の展開をもたらしてくれると感じています。

海外と国内では、住まいをめぐる貧困問題に違いがあり、PHWで国内の住環境を知ることは、GVのような海外建築活動での視野を広げることにもつながると思います。
また、海外と国内両方の住環境をめぐる支援のかたちを知ることは、「A world where everyone has a decent place to live(誰もがきちんとした場所で暮らせる世界)」というHabitatの理念における住居への支援の意味をより深く知る経験となり、ボランティアが考えるきっかけになるのではないでしょうか。

ありがとうございました。