インターン清水慶子の「サワディー☆ハビタット」9月号
サワディー☆Japan Hope Builders 報告
?2007夏 ウドンタニで1000軒目の家を建ててきました!?
待ちに待ったタイ・ウドンタニでの一般参加型GV(海外建築ボランティア)が8月25日から9月1日についに開催されました!!参加者は大学生から、社会人、御年66歳のシニアの方まで老若男女、個性豊かな9名に、チームリーダー兼現地コーディネーターとして参加した私を含めた10名。通常、HFHJから送るGVチームはキャンパスチャプターと呼ばれる大学のハビタット支部に所属する学生や、JET(日本が外国から英語教師を招くプログラム)で来日している外国人チームがその大半を占めており、今回のように年齢や職業を問わず、広く一般からメンバーを募ったGVはまだ珍しいケースです。
今回のサワディー☆ハビタットでは、そんな私たちJapan Hope Builders(以下JHB)の8日間の活動成果をご報告したいとおもいます。
「すごい、家になった!」 今回のJHBではそんな歓声を
何度も耳にしました。自力でセメントをこね、バケツリレーで
運び、ブロックを積んで、またセメントを混ぜる・・・繰り返さ
れる建築作業は地道で、けして容易いものではありません。
けれど屋根と骨組みしかなかった場所から、床ができ、壁が
でき、徐々にでも確実に家が建っていくというその達成感は
計り知れないものがあります。そうやって参加したメンバー
が「お客様」としてではなくプロジェクトに徹底的に参加できる
こと、そしてその成果を存分に実感できることが、ハビタットの
ボランティアが世界中で支持されている秘訣といっていいかも
しれません。
そしてなんと!今回私たちJHBが建てた家はウドンタニを含
む東北部の支援地(タイでは他に北部、南部、中央部の3地域
をもっています)で1000軒目のメモリアルな家だったのです!!
記念すべき1000軒目の家のホームオーナー、ソムクワン・
カムスックさんは31歳。妻のナッター・ティタンボルさん(25歳)と7歳になる息子サラヨックくんと一緒に暮らしています。貧しさから持ち家を市場から調達できる稼ぎはなく、借家の極僅かなスペースに一家3人がひしめき合うように暮らしていました。そして昨年、知人からハビタットの住居建築プログラムについて紹介をうけ、これまで共働きをしながら家を建てる資金をためてきました。
JHBの建築作業中も彼ら夫婦、そして両親までもが仕事の合間を縫ってサイトにきて、メンバーとともに作業をしていました。はじめは突然の外国人の訪問に戸惑っていた様子のホームオーナー達でしたが、最後には得意のダンスをはにかんだ笑顔で披露してくれるほどに仲良くなれました。
また今回のGVではたくさんの子ども達とふれあうことができました。HIV・AIDSポジティブではあるものの明るく活発な孤児達、地元の小学校の元気いっぱいの生徒達、聾(ろう)学校から建築を手伝いにやってきてくれたやんちゃ盛りの男の子達・・・。どの子も澄んだ瞳を向けて私たちの訪問を歓迎してくれ、JHBメンバーもいつの間にか夢中になって彼らと一緒に遊んでいました。
このように、普段の旅行ではふれられないその国の息吹や人々の生活を間近で感じあうことが出来る点もハビタットのGVが持つ素敵な要素です。建築作業以外でもJHBのメンバーはタイ語・日本語の会話を片手にさまざまな質問をお互いに投げかけ、積極的に現地の人々との仲を深めていました。
チームを迎える立場になった私自身が一番嬉 しかったのも、まさにこういった瞬間でした。建築 ボランティアや人と関わりを通じて、メンバーの笑 顔が一日ごとにどんどん輝いていく。その変化を 近くで感じられることが、チームリーダーとして何 よりの喜びであり、支えとなりました。
かくいう私も、本格的な現地コーディネートをする のは今回のJHBが初めて。在タイ5ヶ月になるとは いうものの、初対面の参加者相手にこんな大役が 務まるのだろうかと内心は不安でいっぱいでした。 それでもとにかく、「チームとしても個人としてもた くさんの思い出を作って帰ってもらえたらいい。 タイを、ハビタットを好きになってもらえたらいい。」 という想いで8日間を駆け抜けました。
今回の私の基本的な仕事はタイ語、英語の通訳からスタッフとの調整、加えて参加者の体調管理や予算のマネージメント。他にも、JHBの期間中に誕生日を迎えたメンバーのサプライスパーティーを企画して、初対面である参加者同志がうまく打ち解け、チームとしてのまとまりと結束を深められるような仕掛け作りを試みました。また、五感を使ってタイの文化へ触れてもらえるよう、予め決まっていた昼食にウドンタニのある東北地方の郷土料理であるカオニアオ(もち米)やソムタム(青パパイヤサラダ)などを追加で加えてもらったり、雨季の今だからこそおいしいフルーツをここぞとばかりに紹介しました。また、伝統のタイダンスを体感してもらうために、ハビタットスタッフにお願いしてフェアエルパーティーの際に踊りを披露してもらえるよう手はずを整えたり・・・と、タイの楽しさをフルコースで味わってもらうべく日々頑張りました。
あっという間の8日間が過ぎ、振り返って期間中に撮りためた写真を見てみると「やってよかったな。」という思いがふつふつとこみ上げてきます。6ヶ月のインターンの集大成とも言えるこのイベントを通して、私がタイにいた証をやっと残せたかなと。参加者の一人が空港のお別れの際言ってくれ言葉があります。「このメンバーで来れてよかった。」今もお守りのようになっている、大事な一言です。
9月7日、JHBから一週間をあけ私はウドンタニへ再び向かいました。1000軒目の祝賀記念パーティーに出席するためです。夕刻から始まった祝賀イベントは盛大で、新居の前には総勢200名が集まり、ホームオーナーはもちろん、村の重鎮から近所のみなさん、以前のハビッタトのパートナー、JHBとともに1000軒目建築に携わった京都外国語大学のGVチーム、そしてハビタット・タイランドのCEOもバンコクから駆けつけ祝辞を述べてくれました。祝宴は夜も続き、こちらに250名近くが集い、歌え踊れやの宴会が行われました。
こんなに多くの人に祝福される記念の一軒を私たちJHBが建てられたことは、本当に光栄なことです。でもそれ以上に、これまでに建てられた一軒一軒の家が確かに存在したこと、そこでホームオーナーたちの新しい生活がすでに始まっていて、家族の輪が育まれて続けていることに大きな喜びを感じています。
家を通して、人々の希望を建てる。そんなハビタットの活動がこれからももっと多くの人の支えになり、未来を創る手伝いができればいいなと思います。
以上、バンコクより。Japan Hope Builders 2007タイ・ウドンタニ、無事任務完了です!!
「サワディー☆ハビタット」9月号
2007/09/13