東京都町田市にある児童養護施設「バット博士記念ホーム」にて、ハビタット・ジャパンが推し進めてきたクラフトルームの建築プロジェクトが、7月末、ついに竣工を迎えました。

本プロジェクトは、児童養護施設やシェルターといった、一時的でも住まいに代わる福祉施設や、公民館などの子どもから高齢者までが利用する、地域づくりに欠かせない施設が抱える住環境改善ニーズに応えるハビタットの「施設支援プログラム」の一環です。同プログラムでは、国や地方自治体による補助金では賄えない小・中規模の修繕ニーズに対して、ハビタットが支援計画を策定し、ファンドレイズを行い、工事のマネジメントまでを担うほか、ご支援くださる企業や団体、個人にボランティアとしてご協力いただき、施設職員の人手が割けない住環境整備に取り組むことで、誰もが安心、安全に暮らせる住まいを持てる社会、そして誰もが安心して暮らせる地域社会の実現を目指しています。

「クラフトルーム ノア」の誕生

「バット博士記念ホーム」は、ハビタット・ジャパンが長年支援を続けている児童養護施設の一つです。これまでにも、老朽化した外壁の塗装、ボランティアによるホールのペンキ塗りや庭の整備など、財政面や人手不足から対応が難しかった環境整備に対して支援を行い、子どもたちが安心・安全に過ごせる住環境を提供してきました。

こうした支援活動を通じて、施設長の宮本和武先生が抱く「子どもたちの創造性や自発性を育む場としてクラフトルームを設けたい」という想いに賛同し、ハビタットとしては東北復興支援事業以来初となる建築プロジェクトを立ち上げました。プロジェクトの始動に向けては、設計フクダアーキテクツによる協力のもと準備を進めてきました。特に、建築価格が高騰する中で、予算内で施設が希望するクラフトルームを建築するために、何度も施設の要望をヒアリングし、建築案を練り直してきたほか、福祉施設内での新たな建物の建築にあたり、幾度も行政確認を行い、バリアフリー設計に対応するなど、膨大な時間をかけて設計が行われたほか、建築に必要な資金調達などにも多大な準備期間を要し、構想開始から約5年、2025年3月に着工が叶いました。

それから4ヵ月、遂にクラフトルームが竣工を迎えました。この新しい創造の空間は、施設に暮らす子どもと職員により「クラフトルーム ノア」と命名されました。ネーミングにあたっては、子ども達をはじめ、職員が、日々変化する建物の様子にイメージを膨らませながらネーミング案を投稿しました。そして「まるでノアの箱舟のようだ」と感じたと話す職員が投稿したネーミング案が投票により選ばれ、「クラフトルーム ノア」と命名されました。

「クラフトルーム ノア」は、単なる建築物ではなく、子どもたちの主体的な関与と想像力によって命が吹き込まれた象徴的な空間です。2025年9月6日(土)、ハビタットは施設関係者、支援企業、個人支援者、建築関係者をお招きし、子どもたちの思いが込められたこのクラフトルームのお披露目式典を開催予定です。

多くの企業や個人に支えられ、実現したクラフトルーム建築プロジェクト

クラフトルーム建築プロジェクトの実現に向けて、これまでに M&G Investments Japan株式会社、サンゴバン株式会社、ジョンソン株式会社をはじめとする多くの企業パートナー、そして個人支援者の皆さまから多大なご支援をいただきました。

ハビタット・ジャパンが掲げるミッションは、 「人々と手を取りあい、家、コミュニティ、希望を築く」ことです。企業パートナーの多くは寄付による支援だけでなく、施設支援の一環として取り組む活動にボランティアとして積極的に参加くださっています。昨年度(24年7月~25年6月)は、総勢233名もの方々がボランティアとして施設の住環境改善のための活動に参加し、子どもたちが安心して暮らせる環境づくりに貢献してくださいました。企業や団体、個人の支援者は、児童養護施設などの福祉施設が抱える住環境改善のニーズに応える上で、欠かすことのできないステークホルダーです。クラフトルームプロジェクトは、そうした多くの想いと連携のもとで形づくられており、施設に暮らす子どもたちの未来を支える象徴的な取り組みとなっています。改めて、本プロジェクトにご支援をお寄せくださった皆さまに心より感謝申し上げます。施設支援プログラムへのご支援はこちらをご覧ください。