ハビタットの国内居住支援「プロジェクトホームワークス(PHW: Project HomeWorks)」は、単身世帯の増加や地域とのつながりの希薄化といった日本社会の課題に向き合うプログラムとして2017年に開始し、以来、ご高齢の方や障がいをお持ちの方など、ご自身では居室を片付けることが困難な方を対象に、清掃・片付け支援を継続してまいりました。ボランティアでご参加くださる皆さまのお支えのもと、これまでに約300世帯に支援を届けてまいりましたが、人的・財政的な組織基盤に鑑み、2025年6月末をもちまして、新規のご相談を一時休止させていただくこととなりました。
PHW休止前の最後の活動となったのは、40代の福島さん(仮名)宅での活動です。福島さんの相談は、5月頃、ハビタットが連携する団体を通じて寄せられました。以前は勤務されていた福島さんですが、現在は精神疾患を発症し、認知機能が低下する中、単身で暮されています。一方で、居室は次第にモノが多くなってしまい、ご自身では片付けを進められないという理由から相談が寄せられました。下見のためお宅を訪問すると、一部屋はたくさんの本や漫画、ビデオテープが積められたダンボールで埋め尽くされていました。「自分でも本の仕分けをしたいとは思っていたけれども、仕分けをするスペースが作れないんです」そう話す福島さんの声を受け、ハビタットの支援では、モノを分別するためのスペース作りを目指すことになりました。
そして、スペース確保まで計2回、6月に福島さんのお宅の片付けを実施しました。初回の活動では、ずっと処分しようと思っていたけれどもそのままにしてしまっていたという、ビデオテープ5箱分をゴミ集積所に運ぶことから始めました。福島さんのお宅はマンションの5階ですが、エレベーターがありません。福島さんご自身も何回も階段を往復され、ボランティアさんと協力しながら、約1時間かけて不要となったモノの搬出を終えました。
2回目の活動では、残された居室の片付けに加え、水回りの清掃を行いました。この日は、外国の方がボランティアに加わり、一生懸命に活動されるボランティアさんの姿に感化されたのか、福島さんも積極的に掃除に参加くださり、ボランティアさんと好きな漫画について話すなど、手を動かしながら和やかに会話を楽しむ姿が見られました。
こうした2回の活動を終え、連携団体の職員さんから「福島さんは、今回のハビタットのお手伝いを通じて、福祉のサポートを受けることのイメージが沸いたのだと思います。障害福祉サービスに申請をして、定期的にヘルパーさんに来てもらえるよう、動き出すことができました」との声が届きました。
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Before
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After
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After
ハビタットは、高齢や障がいといった何らかの理由により、居室の環境が荒れてしまったものの、「周囲に頼れる人がいない」「恥ずかしい」「他人に迷惑をかけてはいけない」など、さまざまな思いからを上げることが困難な世帯を対象に、PHWの支援を届け、ヘルパーなどの日常的なサポートに繋ぐ橋渡しとしての役割を担ってきました。こうした活動にご理解をいただき、これまでに活動に協力くださったボランティアの数は延べ1,000名に及びます。PHWをお支えくださった皆さまに、これまでお寄せいただいたご支援とご協力に心より感謝申し上げます。
PHWは6月末をもって休止となりますが、ハビタット・ジャパンでは、引き続き国内支援の一つである「施設支援」を通じて、誰もが安心・安全に暮らせる住まいを持てるよう活動に取り組んでまいります。「施設支援」プログラムの詳細またご支援はこちらをご覧ください。