ハビタットの国内居住支援「プロジェクトホームワークス」は、ご高齢の方や障がいをお持ちの方など、ご自身では居室を片付けることが困難な方のお宅にて、居室の環境改善を目指す支援です。支援に賛同くださるボランティアさんとともにホームパートナーさんのご自宅を訪問し、ご本人の希望を伺いながら、お部屋の清掃や片付けに取り組み、必要に応じて収納棚や寝具の提供も行っています。

「とても気持ちいい。本当にありがとう」

そうおっしゃったのは、ハビタットから新しい寝具一式を提供した松井さん(仮名)です。松井さんは40代で、精神疾患を抱えています。体の不調が続き、自身では室内の環境を整えることができずにいたため、10月頃、福祉団体を通してハビタットに相談が寄せられました。下見に訪れると、ワンルームの中央には寝具が敷かれ、その周りには、ご自身では片付けることが難しかった食べた後の容器やペットボトル等が散乱するなど居室が荒れた状態であり、衛生的に課題を抱える環境下で生活されていました。

  • Before

  • After

そこで、松井さん宅の支援を決定し、ボランティア2名の協力のもと12月に活動を実施することができました。その頃の松井さんは、起こした体を自分自身で支えることができず、座っていてもしばらくすると体が傾き、倒れてしまうような状態でした。そこで、壁に寄りかかれる場所にスペースを確保し、松井さんには体を休めていただきながら、作業を開始することにしました。

まずは、居室の中央に敷きっぱなしになっている寝具を粗大ごみに出すために運び出していきます。長年にわたって使用していたと思われる敷布団は、大きく穴が開き、中のワタが見え、汚れも目立つ状態でした。同様に古くなった掛け布団、毛布も運び出すと、居室にスペースが生まれ、片付けが加速しました。布団周りに散乱していたゴミを拾い集め、残すモノと処分するモノを仕分けながら整理していきます。モノを処分するかどうかは、ご本人に毎回お聞きし判断をお願いしますが、体調の優れない松井さんにとって、モノの要不要を判断することはエネルギーを使うことでもあります。ご本人の体調を逐一伺い、疲れが見えたタイミングで小まめに休憩を挟みながら、進めていきました。

その後、松井さんを担当する保健師さん2名も合流し、総勢5名で床を拭きあげ、きれいになった床の上に、新調した寝具一式をセッティングしていきました。敷布団、掛け布団、枕にカバーをかけ、部屋の中央に敷くと、真新しい寝具に横になった松井さんは、「あー気持ちいい」という言葉を繰り返しおっしゃいました。この日、初めてPHWボランティアに参加した青山学院大学のハビタット学生支部の代表を務める永長さんは、「活動の終わりに、嬉しそうにされているホームパートナーさんのお顔を見て、とてもやりがいを感じました。まだまだ自分には知らない、見たことのない社会の課題がたくさんあるのだと改めて感じる良い機会となりました」と感想を寄せてくださいました。

松井さんのお宅でのハビタットの支援は今回で終了となります。今後は、担当の保健師さんと相談しながら、適切に病院を受診するとともに、福祉サービスを利用し、居室の環境維持に取り組んで行かれます。プロジェクトホームワークスはボランティアさんのご協力が欠かせません。ご参加の詳細はこちらをご覧ください。