ハビタットの国内居住支援「プロジェクトホームワークス」の活動は、ボランティアの方々に支えられています。8月、ハビタットの学生支部であるキャンパスチャプターの出身で、現在も大学に在籍しながらキャンパスチャプターの活動をサポートしてくださっている、相澤地優さんが、2回目となるPHWボランティアにご参加くださり、感想を寄せてくださいました。

相澤さんにお手伝い頂いたのは、50代の上杉さん(仮名)のお宅です。上杉さんは、精神の障がいを抱えています。これまで、母親と一緒に一軒家で暮らしてきましたが、母親が歳を取り、施設に入居されてからは、単身で暮らされています。高齢の母親が自宅に戻ることはないため、部屋のモノを整理し、家の中を片付けたいという希望から、地域の相談支援事業所を通じてハビタットに相談が寄せられました。

活動を終えた相澤さんは、今回のボランティアを通じて、人との関係性を築く上での大切な気づきが得られたと教えてくれました。相澤さんの気づきはこちらをご覧ください。


訪問するお宅のホームパートナーさんが障がいをお持ちだと聞いた際に、はじめに頭をよぎったのは、小学生の頃の友人のことでした。

私の友人は、家の近くに住んでいて、小学校の6年間、毎朝一緒に登校していました。彼は「特別支援クラス」に通っていたため、クラスは違っていたのですが、よく彼のクラスにも遊びに行っていました。彼は映画が大好きで、彼の影響で私も映画を見るようになり、よくその話で盛り上がりました。

中学生になった頃、私は彼が知的障がいを抱える「障がい者」であると認識するようになり、学校で「障がい者の人への接し方は丁寧にしなければならない」と言われると、急に彼への接し方がわからなくなってしまいました。彼も私のことを「相澤さん」と苗字で呼ぶようになり、次第に距離ができてしまいました。

そうしたまま、中学を卒業しました。

今回、ホームパートナーである上杉さんが障がいを抱えながら単身で暮らしていらっしゃると知り、訪問する前、私は「一人で生活できるのかな?」と考えてしまいました。しかし、お宅を訪問してみると、上杉さんは玄関口まで出て来てくださり、部屋に案内し、私たちボランティアが「これは要りますか?」と聞くと、しっかりと判断をして、捨てるかどうかの指示を出してくれました。初めは上杉さんも緊張している様子でしたが、ボランティアの人たちが、「ステキなお洋服ですね、お母さんは衣装持ちですね」などと話しかけると、だんだんと緊張がほぐれて、お母さんの話もしてくださり、「母は認知症が進んで、私のことを子どもではなく弟だと思ってたんです」と、少し寂しそうに教えてくださいました。PHWの活動はわずか2時間ほどでしたが、終わる頃には、上杉さんが「障がい者」であることを忘れて、手伝いにきた「友人」のように話しかけていました。

その時、活動に同席されていた相談支援事業所の相談員の方に私の思いを話しました。「私は将来、障がいがある、なしに関わらず、全ての人がその人らしく生きるためのサポートをする仕事に就きたいと思っているのです」と。すると、その方は、「障がいのある人を、『障がい者』というフレームの中で見ているうちは、そのフレームを超えることができないんです。そのフレームをとって、その人自身を見ていくと、一人ひとりが抱える生きづらさが見えてきて、新たな関係性が構築できますよ」と教えてくださいました。

小学生の時、私には『障がい者』というフレームを持っていなかったけれども、大人になるにつれてだんだんとそうしたフレームが作られ、そのフレームの中で物事を認識していたのだと気づきました。そしてそれは、障がいのある方だけでなく、様々なことに当てはまるのかもしれません。今回のPHWボランティアは、そうした日常では気づくことができない気づきを得られ、自分自身の将来についても考えるきっかけになりました。


ホームパートナーである上杉さんのお宅での片付けのお手伝いは、今後も継続していく予定です。多くの方のボランティア参加をお待ちしています。9月のボランティア募集はこちらをご覧ください。