この春、245人の大学生が17のチームを結成し、ハビタットの海外建築ボランティア「グローバル・ビレッジ(GV)」プログラムに参加しました。学生たちは、インドネシア、カンボジア、ベトナム、フィリピン、インドの5カ国に渡り、住まいの支援を必要とするコミュニティの人々と手を取りあい、住居建築に取り組みました。そのチームの一つ、同志社大学のキャンパスを拠点に活動する同志社ハビタットは、「アポンるGV」チームを結成し、カンボジアに渡航しました。チームのリーダーを務めたのは片山さんです。片山さんは、昨年の春もGVに参加し、メンバーの一人として同じ地域を訪問し、二家族の家建築に参加しました。そこで、片山さんは、一年前に出会い、共に汗を流して家の建築に取り組んだチャンティ一家とローロン一家の今を知るために、チームメンバーとホームオーナーを再訪することにしました。ハビタットのスタッフがホームオーナーにボランティアの再訪を相談すると、片山さんをはじめ、当時の参加メンバー一人ひとりの顔、そして一生懸命学生ボランティアが家を建ててくれたことを鮮明に覚えていると話し、快く受けてくれました。

後日、日本に帰国した片山さんは、ホームオーナー家族との再会から得た学びや気づきを事務局に寄せてくれました。ご家族へのインタビューを通じて、「家の安全性が担保されていることで、災害や健康、防犯における心配が減り、その家族の幸せを増幅させていることを学びました。ある家庭では、セキュリティーが前の家より進化したから、子どもが安心して勉強できるようになったり、また、健康面では、医者にかからなくなり、将来のためにお金を蓄えることができていいました。 『家』という物質的価値が、多様な観点における『価値』をもたらしていることを知りました。 二家族とも、家に私たちの写真をわざわざ飾ってくれていました!」と、再訪問の感想を寄せてくれました。片山さんはじめチームメンバーがホームオーナー家族に行ったインタビューの一部はこちらをご覧ください。


①GVチームと家を建てた中での思い出を教えてください。

チャンティー家:「外国の人と交流するのは初めてのことでした。外国から来てくれた学生ボランティアと一緒に家を建てられたこと、そして、その時に撮った写真は今も大切な思い出です」

ナーロン家:「最も印象的なことは、一緒にレンガを運び、たくさんの話をして笑い合ったことなどたくさんあります。」

②新居が完成した日の気持ちを覚えていますか?

チャンティー家:「多くのことが変わりました!幸せが訪れたと感じたことをよく覚えています。特に、嵐のことを気にしなくてよくなったことは最高の幸せです!」

ナーロン家:「新しい家に引っ越した時、幸せを感じたことを覚えています。新しい家は、過ごしやすい上に、安心を感じます。」

③以前の暮らしから変わったことはありますか?

チャンティー家:「安全面が大幅に改善されました。前の家には鍵がなかったので、家を留守にするときは空き巣に入られないかと心配していました。今は、頑丈なドアに鍵がついているので、心配する必要がありません。また、安心して使えるトイレやキッチンなど水回りが備わっている上に、家の中に子どもが勉強できるスペースが確保できています。」

ナーロン家:「多くのことが変わりました。新しい家は、快適で、安心して暮らせる居心地の良い環境です。昔の家は洪水があると家の中に不衛生な水が入り込み、不衛生な環境により病気になるのではと不安を抱えていました。けれど、今の家は高床式なので浸水する心配がなくなりました!また、近所の人と良い関係を築けるようになりました。以前は、家にスぺ―スがなかったので、誰も来てくれませんでしたが、今は近所の人が遊びに来てくれるなど、友達が多くなりました。」

④家族との過ごし方は変わりましたか?

チャンティー家:「家族で過ごす時間が多くなりました。以前は、雨や嵐の時は、家に雨水が入り込んでしまうので、家族が別々に過ごすことが多かったです。けれど、今はそうした心配がなくなり、家族みんなで一緒に暮らし、毎朝一緒に朝食を食べられることが幸せです。」

ナーロン家:「以前は、子どもを家に残し、仕事で家を空ける時は不安でした。けれど、今の家は鍵がかかるので、安心して過ごすことができます、また、眠るときは嵐が来た時のことを考え不安になりましたが、今はそんな不安もありません。今は、安心して暮らせる家を持つことができ、子どもが勉強し、成長していく姿を見れることが喜びです。」

⑤ハビタットの活動に対してどう思われますか?

チャンティー家:「素晴らしい活動です!ボランティアの皆さんは、時間とお金を使って自分たちの家を建てるのを手伝ってくれました。そしてまた、手伝ってくださった皆さんは、私たちだけでなく、別の国、また別のコミュニティを訪れ、ハビタットと共に住まいの支援を必要とする新たな家族をサポートすることができます。ハビタットをはじめ、ボランティアの皆さんには、今後もこうした活動を継続してほしいです。」

ナーロン家:「きちんとした住まいを必要とする家族をサポートできる活動だと思います。」


再訪問を終えた片山さんにとって、最も印象的だったことの一つは、ハビタットの住居建築は、家を持つホームオーナー家族だけでなく、その地域の発展に寄与していることを知れたことだと教えてくれました。片山さんたちが昨年建てた家は、地域の人たちの憩いの場となり、より多くの人の精神的豊かさにつながっていたと話します。今回片山さんのチームが再会したご家族の声は、ハビタットがこれまで支援を届けてきた家族の一例です。GVは、ハビタットのミッションである「手を取りあい、家、コミュニティ、そして希望を築く」活動そのものです。ホームオーナーと再会を果たし、そこで得た学び、気づきを共有くださった同志社ハビタット「アポンるGV」チームの皆さんに感謝申し上げます。