ハビタットの入居支援を受けて3月に新しいお住まいに移られたご高齢の田中さん(仮)のお宅を先日見守りの一環として訪問しました。

ハビタットの国内居住支援「プロジェクトホームワークス」は、今ある住まいを守る清掃・片付け支援と、新しい住まいにつなぐ入居支援の二本柱で、誰もが地域の中で安心して、そして安全に暮らせる住まいが持てるよう取り組んでいます。清掃・片付け支援の相談は、地域の方の暮らしを見守り、必要な公的サービスに繋ぐ役割を果たす地域支援員から寄せられます。支援を完了すると、居住環境を維持するために必要な日常生活援助サービスに支援員の方が繋げてくださるため、多くの場合、支援後の見守りは支援員の方にお任せしています。

一方、入居支援はご本人をはじめ、連携する困窮者生活支援団体から寄せられています。新しい地域に住まいを移す方も多く、地域の支援員をはじめ、地域住民との繋がりが薄い中での自立した生活が必要となる方もいるため、必要に応じてハビタットでは入居後の見守りに取り組んでいます。

先日見守り支援の一環として再訪問した田中さんも、住まい探しの中で希望する物件を見つけるためにお住まいの地域を移られたお一人です。今は生活保護を受給し生計を立てています。転宅により区を移管したことで、田中さんを担当するケースワーカーがかわりました。しかし、引っ越しから3ヵ月、担当のケースワーカーさんが多忙とのことで、今も直接会う機会を持てていないとのことでした。

お宅に訪問すると、引っ越しの際の段ボールがいくつか残されていましたが、生活空間は整理整頓され片付いていました。お話上手な田中さんに今の暮らしについてお話を伺うと、住まい探しの際には気が付かなかった不便さ、例えばキッチンに棚がないことや、一階の部屋のために寒い日は底冷えすると話されていましたが、病院に出かけたり、図書館に行き本を借りられたり、と新しい住まいで安心して生活を送る様子が伺えました。ただ、金銭管理においては不安が残ります。

前回の訪問では、田中さんがお一人で契約された不要な携帯電話のプランを変更するため、スタッフがお店に同行し、プラン変更をお手伝いしました。その際に、携帯の契約時にオンライン決済のサービス利用を開始されていたことが分かり、利用を控えるようスタッフから田中さんに伝えました。今回はその後の様子伺いのための再訪問でした。直近の生活についてお話を伺った後、オンライン決済について話が及ぶと、オンライン決済を使わなくては生活が続けられないと話され、その請求額が利用した以上に感じると言います。詳しい状況を把握するためにも明細を見せてほしいとお願いすると、慣れない操作で必死にスマートフォンからその明細を探しますがが、見つかりません。田中さんは「あら、画面が変わってわからないわ。もう全く!」と憤ります。スタッフが代わりに操作すると、程なく明細に辿り着きました。そこで、次回の請求額が生活保護の半分近くまで膨らんでいることが分かりました。田中さんご本人の利用を確認したこともあり、改めてオンライン決済をはじめ、カードの恐ろしさを伝えると、「でも、お金が足りなくなるから仕方ないのよ」、そう生活苦を吐露し、「いろんなものの価値が上がっているけど、支給額が増えないのよ。どう生活すればよいのかしら」と苦言を呈します。毎月のようにオンライン決済の費用が請求されるため、臨時の収入がなければ田中さんが陥った負の連鎖は止まりません。この連鎖から逃れるためには、少しずつでもオンライン決済の利用を減らしていくほかありません。幸いなことに、昨今の物価高騰を受け、請求額と同額近くの臨時給付金が入ることが分かりました。給付金を請求額の支払いに充てると厳しい生活は続きますが、毎月の保護費で生活を建て直すことができます。生活保護に頼る生活は田中さんにとって厳しいとのことですが、お金を返済できないことで今ある生活、そして住まいを失う可能性が出てくることをお伝えし、「現金が足りなくなり、食事や日用品で困ったことがあれば、私たちハビタットをはじめ、つながりのある民間の支援団体や役所に相談してくださいね」とお伝えました。

田中さんが新しいお住まいで安心して自立した生活を続けられるよう、ハビタットでは引き続き見守りを続けて参ります。こうした見守り支援をはじめ、ハビタットの国内居住支援「プロジェクトホームワークス」は企業や団体、個人の皆さんによるご支援に支えられています。活動へのご寄付はこちらからお願いいたします。