近年、地球温暖化や異常気象により日本をはじめ、世界各国で災害が多発しています。

昨年12月16日にフィリピンを襲った大型の台風22号「ライ(フィリピン名:オデット)」は、200万戸以上の住宅に被害を与えたとも言われています。その被害は、日本でも大きく報道された2013年の台風ヨランダと比較しても、家屋被害の件数は倍近くのぼります。

「台風が発生してから数日後、私たちは被災した家族のニーズにあわせた緊急支援を開始しました。しかし、台風ヨランダの対応と異なり、台風オデットに対する国内外の支援の流れは遅く、微々たるものでした」そして「この数年、災害の激しさと頻度が増していることに加え、パンデミックが地域経済や世界経済に与えた影響が、台風オデットへの支援の遅れの原因となっています」とハビタット・フィリピンの担当者は報告しています。

こうした状況の中、NGOの中間支援団体であるジャパン・プラットフォームを通じて片山鉄建株式会社より、住宅再建時の屋根材となる塗装ガルバリウム鋼板をご支援いただき、日本郵船株式会社のご協力のもと被災地に届けることができました。塗装ガルバリウム鋼板は、日本の住宅にも使われる建材の一つであり、その耐久性(錆びにくさ)や軽量性に加え、施工も簡単で、他の屋根材に比べメンテナンスに掛かる費用が抑えられることから、ハビタットの住宅建築でも多く使われています。

この8月、セブ島とネグロス島内の二つの地域で、ご支援いただいた塗装ガルバリウム鋼板をはじめ、家の再建に必要な資材を含めた住宅修繕キットを、全93世帯に提供しました。あわせて、支援世帯を対象に家を補強するための資材の使い方など、今後の災害を見据えたレジリエンス力のある住宅の再建に向けた「ビルドバック・セイフティ・オリエンテーション」を実施しました。また、塗装ガルバリウム鋼板以外にご支援いただいた資材は、被災地の自治体やデイケアセンターに届けました。

  • 屋根材を含めたキット配布の受付の列

  • 8月10日、キットを受け取った住民

  • オリエンテーションを受ける住民

台風オデットの発生から間もなく10ヵ月、ハビタットは、セブ島、レイテ島南部、ネグロス島内の被災した9つのコミュニティを対象に被災者支援に取り組んでいます。災害発生直後は、衛生用品や生活用品のキットを提供したほか、住宅の再建に向けて建築や修繕をはじめ、住民主導の住宅再建に向けて「ビルドバック・セイフティ・オリエンテーション」を実施し、必要な修繕キットを提供するなどし、経済的に住宅の再建が困難な2,000世帯に支援を届けてきました。

 


片山建鉄株式会社にご支援いただいた塗装ガルバリウム鋼板を使って住宅を再建したラニエさんのお宅

  • Before

  • After