緊急事態宣言が明けた10月、積水ハウスマッチングプログラムによる助成をうけた国内ボランティアプロジェクト「ジャパン・ビレッジ(JV)」が実現しました。 

JVは日本が抱える少子高齢化や過疎地域の問題をこれからの未来を担う若者に深めてもらい、誰もが住み続けられるまちづくりへの関心を高め、コミュニティの価値を再確認することを目指したスタディツアーです。ハビタットのキャンパスチャプターに所属する学生メンバーが過疎化問題に直面する地域を訪問し、行政や市民団体、住民との交流を通じて各々の役割、そしてまちづくりへの理解を深め、その一助として現地で取り組まれる古民家改修にボランティアとして参加するハビタットのボランティア企画です。

度重なる延期が強いられましたが、10月と11月で計3回にわたり、全国から集まった総勢24名の学生を対象に、1泊2日で兵庫県東部に位置する丹波市でJVを実施しました。丹波市は山間にある地域で、その土地の80%近くが山林に覆われています。農林業に加え工業も盛んな地域ですが、1960年以降人口の減少が続いています。スタディツアー初日は学びの一日として、丹波市でまちづくりに関して行政と市民団体の連携を図る中間支援に取り組む「丹波市市民活動支援センター」の戸田様より、日本が直面する人口減少を見据えた地域の在り方についてお話を伺いました。学生たちは漠然と理解していた高齢化、そして人口減少の推移を視覚的に見ることができたほか、「みんなでつくる・持ち寄る時代に」をテーマに丹波市で取り組まれる事業をご紹介いただき、その在り方を知ることができる時間となりました。その後、丹波市で過疎地域として指定されている青垣町にあるForest Door しぐら」を訪問しました。「Forest Door しぐら」は、廃校となった小学校を活用した施設の一つです。校舎の新たな利活用が求められる中、この地で長年林業を営む株式会社木栄が地域貢献の一環として2019年に行政による委託を受け運営を開始しました。一企業というと立場から、地域づくりに参加し、地元のお母さんが集まれるカフェや子どもの遊び場、そして、日本が抱える林業への問題を普及する場となるよう手探りで施設を作り、さまざまな取り組みをされていることを学ぶことができました。そして、この日最後のプログラムが、同町の中心にある佐治地域で取り組まれるNPO「佐治倶楽部」への訪問です。佐治倶楽部は、佐治の古民家改修を機に、市民団体を設立し、改修後の古民家を住民の交流の場として活用しているほか、現在では4つの古民家を地域拠点として運営し、地域づくりと移住促進にも取り組んでいます。こうして一日目は限られた時間を使って、行政と市民団体の連携、そして企業、市民団体による町づくりへの理解を深める時間となりました。

そして迎えた2日目、1日目の学びからボランティアとしてまちづくりの一助を担う一日です。プログラムを現地でコーディネートするハビタットのパートナー団体一般社団法人Beと共に、Beが丹波市春日町で始動する地域拠点づくりを目指した古民家改修に参加しました。Beでは、地域住民から譲り受けたこの建物を改修し、前日訪問した佐治倶楽部のように、春日町に暮らす住民が集い、さまざまな催し物を企画する場として活用することで、地域としての協働を強める場作りを期待しているほか、人口流入を目指した移住相談窓口を開設し、古民家内に建つ建物の一部を移住希望者へのお試し住宅として活用することも予定しています。ハビタットの学生ボランティアが携わったのは、キッチン棟の改修です。まずは、セーフティーオリエンテーションを行い、その後、現場監督が学生たちに修繕の指示を出し、壁や屋根の解体、そしてペンキ塗りに取り組みました。慣れない工具に戸惑い、最初は不慣れな手つきでしたが、身に着くのが早いのが若者。午後にもなると手際よく作業が進んでいきました。お昼休憩は、建物の中庭で丹波の地元野菜をふんだんに使った手作りピザを堪能し、歓談を楽しんでいました。また、活動の合間には、地元の方々が代わる代わる遊びに来てくださるなど、地方部ならではのアットホームな雰囲気を感じることができました。

2日間と限られた時間でしたが、参加した学生からは「行政の力が1番大事だと考えていたが、これから日本が直面する社会では、自助共助が大切であることを知りました」といった声や、「地方部の抱える過疎化は日本全体の問題であることを再認識し、不安になったけれども、社会課題に対して自分が出来ることがある事を知れました」など、多くの学生が、私たちの社会が直面する問題に触れ、誰もが住みよい地域に暮らせるために積極的に町づくりに取り組む方々との出会いから様々な視点を学び、問題を自分事にとらえているようでした。

実施にあたり助成金をくださった積水ハウスの皆さま、ありがとうございました。そして、初企画にもかかわらず参加くださった学生の皆さん、ありがとうございました。