毎日新聞2月3日(日)付朝刊第16面「だいじょうぶキャンペーン」企画特集のページに茂木事務局長代行の寄稿記事が掲載されました!
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寄稿(毎日新聞「だいじょうぶキャンペーン」特集紙面用)
安心安全 - NGOの役割
住居建築を通じ地域社会に貢献
特定非営利活動法人
ハビタット・フォー・ヒューマニティ・ジャパン
事務局長代行 茂木周二
 社会の安心安全を保障する要素はたくさんありますが、住居(=ハビタット)もそのひとつです。わたしたちハビタット・フォー・ヒューマニティは、家があって初めて家族が安心して暮らせるとの認識のもと、住居建築を通じて貧困などの社会問題の解決に貢献しようと活動している国際非政府組織(NGO)です。安全で手の届く価格の住居を持つことは人間の基本的な権利であり、わたしたちは世界中のすべての人々にシンプルながらも丈夫な住居を持つことの必要性を訴え続け、地域住民や世界中から集まったボランティアとともに住居建築・修繕の活動をおこなっています。
 国連の統計によると、地球上の5人に1人に相当する12億人を超える人々が、1日1ドル未満の極度の貧困状態の中で暮らしています(国連開発計画「人間開発報告書2003」)。こうした所得貧困層の人々は、保健医療、教育などの恩恵を受けられないだけでなく、「十分な栄養」「安全な水」「住居」「トイレ、風呂、下水道などの基本的な衛生施設」「就業の機会」といった、日本では当たり前と思われているような基礎的社会システムを利用できずにいます。しかし、これらの貧困の悪循環はいずれも生死に関わる問題に直結しているのです。
 このような所得貧困層が多く生活する開発途上地域では、農村部や都市スラム街などで住居環境の改善が緊急の課題となっています。ハビタットの活動は住居建築に限られるとはいえ、彼らに生存の基礎を提供することを通じ、人としての尊厳や仲間との連帯意識、さらには地域への愛着を生み育てることに役立っています。
 住居を持てない理由は貧困だけではありません。近年、世界で頻発している災害、紛争も家を失う大きな原因です。このうち災害による住居の被害は日本も例外ではありません。ここ数年だけでも2004年新潟県中越、2005年福岡県西方沖、そして2007年には3月に能登半島、7月に新潟県中越沖と立て続けに大きな地震が発生し、多くの住居が被害を受けました。ハビタットでは、こうした災害により住居を失った人々が立ち直ろうとする努力を地域の人たちとともに少しでも手助けする活動を続けています。
 世界には無数のNGOが存在し、活動していますが、ハビタットは住居建築を社会問題解決のひとつの手掛かりとして展開する数少ない団体であり、地域に根ざした独自の活動を続けています。適切な住居を必要とする低収入家族や高齢世帯など社会的な弱者に目を向け手を差し伸べる活動を通じ、社会の安心安全に貢献することがわたしたちの役割です。
出典:毎日新聞 2008年2月3日付朝刊