3月に起こった能登半島地震では石川県輪島市などを中心に多くの被害が発生しました。特に、輪島市内では数多くの土蔵が打撃を受けました。土蔵は今まで輪島の町の文化を守ってきたものであり、魅力的な街を形成する貴重な社会資産です。輪島には250ほどの土蔵があるそうですが、そのうち150が修理を必要としているそうです。地震後、被害を受けたまま残っている土蔵も多く、今回ハビタット・ジャパンとADRA Japanの合同ボランティアチームは前半と後半に1つずつ、合計2つの土蔵の解体作業を手伝いました。
まず、土蔵の中のものを出し、少しずつ土壁を壊し、たまった砂を外に出しました。作業は粉塵マスクをして行いました。輪島の土蔵は家の裏側にあるため、暑くて暗く、かなりきつい作業となっていました。砂を桶に入れて、次から次へと渡す様子は、初対面同士が行っている作業とは思えないチームワークでした。参加者は知恵を出し合い、工夫をし、声をかけあって、作業を進めていました。
土蔵はかなり古いものであり、床も穴があいていて、特に屋根の上に乗るときは気をつけるように注意がありました。専門家の助言を受け、作業は慎重に進められました。また、専門家によると単なる解体ではなく、地震により変に壊れており、危険で、難しいとのとでした。
後半作業を行ったNさんは年老いた母との2人暮らしです。住宅もゆがみがあり、障子が破れていました。Nさん宅には3つの土蔵がありましたが、地震で3つとも壊れたそうです。2つの土蔵は倉庫代わりに利用されていたそうで、古い書物などがありました。もう1つの土蔵は漆器用であったそうです。土蔵の中のものを外に出したとき、積まれた中から何か探しては大切そうに取り出していらっしゃいました。何度か取り壊そうとされたそうですが土蔵修復委員会の方からいまにボランティアがくるからと言われ、待っていたそうです。通りかかりのおばあちゃんたちは「いよいよ始まったね」と声がかけられていました。
土蔵は家の裏側にあるため、被害が目立ちません。中に入ると土蔵がなく、ぽっかり空き地になっている家もありました。未だに青いビニールシートがかけられている家も多く見かけました。7月の新潟県中越沖地震の際に崩れたところもあるそうです。