昨年10月にパキスタンの北東部で発生した大地震では、8万人以上が犠牲となり、300万人以上の人々が家を失いました。ハビタット・フォー・ヒューマニティ・ジャパンは、5月からジャパン・プラットフォームの助成を受けて、地震の最大被災地と言われるマンセーラ州バラコートで支援を開始しました。
現地では、春先から被災者による新たな住居の建設が始まっていますが、倒壊した住居や周辺の山々から得られる木材を裁断する手段がありません。新しい家を建てるために、日中の温度が40度を超える中、人々は斧を使って木を切っているのが現状です。また、製材機(木材を裁断する機械)が導入されている村もありますが、これらの多くは有料で、経済的に余裕のない被災者に追い討ちをかけています。これでは住居の建設は一向に進まず、また切られた木材も均等にはなりません。現在、パキスタンではモンスーンの季節を迎え雨の日も多く、やがて厳しい冬もやってきます。雨や寒さを防ぎ、また再び起こるかもしれない地震の被害を緩和するためにも、木材を無料で製材する支援が必要とされています。
支援地では、ハビタット・フォー・ヒューマニティ・ジャパンのスタッフが滞在し、現地のハビタット・オフィスと協力しながら事業を実施しています。ハビタット・フォー・ヒューマニティは、とくに支援の届かない山あいの村々に対する支援を大事にし、トラクターと製材機を活用しながら日々活動しています。現地スタッフの努力に重ねて被災者の協力もあり、一日で10家族(約6?70人)もの人々が支援を受けることもあります。
地震からすでに8ヵ月以上が過ぎようとしています。インドネシア・ジャワ島の地震による影響もあり、国際社会の目は次第にパキスタンから離れていく観もありますが、パキスタン復興の道のりはまだまだ遠く、息の長い支援が求められています。ハビタット・フォー・ヒューマニティは、これまで行ってきた緊急用シェルターの建設とともに、この製材活動を通して、より長期的な支援を展開していきます。