キャンペーンの終了セレモニーに呼ばれたハビタット・ジャパンのスタッフ3名はステージの上から様々な人種の小学部、中学部の子どもたちの顔を見ることができた。このキャンペーンを生徒会とともに先導したKyle Shahan氏(同校英語教師)のスライドショーが始まると講堂の明かりが落とされ、子どもたちがざわめき立つ。「自分たちのこの手で世界を変えよう...」と歌う音楽とともに、この3ヶ月で生徒たちがモデルハウスを作り上げる様子や家型貯金箱を校内に飾りつける様子、またハリケーンとその被害や世界の貧困について学んでいる様子などがスクリーンに映し出される。自分やクラスメートの写真を見てそこここで笑いが起こる。傍らに控えているShahan氏をはじめとする教諭陣は、スクリーンに反射した光が子どもたちの笑顔を照らし出しているのをがほほえましく眺めていた。
「チャリティという言葉の意味を言える人はいますか?」同校のロジャーズ理事長は子どもたちに問いかける。私も答えを探しつつステージ上の理事長を振り返ると、子どもたちの思考をまってゆっくりと「日本語に約すとしたら「気持ち」という言葉が一番近いでしょう。」と続けた。お金を寄付する事も大切だけれど、困っている人に手を差し伸べたり世界の貧困に対して何かできるかもしれないと思う気持ちこそがチャリティであり、その気持ちを持っている人こそがチャリティを行動に移せるのだと説明する。
最後のスライドは2,043,786円という寄付総額だった。目標の300万円には届かなかったが、ハビタットはこの額で確実にハリケーン被災者に対する援助を行う。しかし、この数字の意味を子どもたちが理解できるようになるのと同じように、このキャンペーンが彼らに残した結果が表れるにも時間がかかるかもしれない。ロジャーズ理事長は子どもたちの成長には時間がかかることと、ハビタットの活動に触れる機会を設けられた事の重要性を強調した。1軒ずつでも確実に家を建てて人々の生活を変えていくハビタットの方法は、子どもの成長を在学しているあいだだけではなく卒業してから社会に出ていく事も視野に入れたアオバインターナショナルの教育方針に合意する。私は全ての子どもたちが世界の貧困住宅問題について考え直す機会を持つとは思わないが、少人数でもいつかハビタットの名前を耳にし今回のキャンペーンを思い出した時に、賛同と協力を得られることにつながると思う。ハビタットが世界に広がったように、こうしてチャリティの「気持ち」は社会に根付き、未来につながっていくのを実感できるようなこのキャンペーンは2006年5月22日に終了した。